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厳しい要求を満たした堅牢な施設 TELEHOUSE OSAKA2の建設現場とは?~大林組に聞く、建設時の苦労とこだわり~

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<左から大林組 山口 昌良氏、畑田 光氏、広田 勝氏、KDDI柳澤、冨岡>

データセンター企画リーダーの柳澤です。今回の記事もTELEHOUSE OSAKA2です。9月15日掲載の設備公開の記事に続いて、この巨大なデータセンターの建設をお願いした大林組へのインタビューをお届けします。KDDIが要求する堅牢なファシリティ、グローバルスタンダードなデザインなどに、どのように工夫して応えていただいたのかについて取材した内容をご紹介していきたいと思います。取材にご協力頂いたのはTELEHOUSE OSAKA2の建設の統括責任者である大林組 畑田 光さん、建築責任者の広田 勝さん、設備責任者の山口 昌良さんです。KDDI側のTELEHOUSE OSAKA2企画担当である冨岡とともにお話をお聞きしました。

各国のお客様に配慮されたデザイン、大阪らしさ、KDDIらしさを追求

8<TELEHOUSE OSAKA2 1階エントランス>

9<大阪城、石垣、日本刀、屏風をモチーフに大阪らしさを表現>

柳澤:TELEHOUSE OSAKA2を今日初めて見学して感じたのは、建物のデザイン性の高さです。無機質になりがちなデータセンターに様々な工夫がなされ、居心地のよい空間になっているのを感じました。デザインに関して一番のアピールポイントはどの部分になりますか?

大林組:やはり1階のエントランスですね。大阪のデータセンターらしさを表現するために、大阪城の屏風、石垣、日本刀をイメージしてデザインしています。データセンターは機密性の高いデータを扱う場所であり、目立ったデザインはできないですが、サイン計画などちょっとした色使いで無機質な空間に命を吹き込むことを意識してデザインしています。サーバー室は、KDDIコーポレートカラーのブルーとauのオレンジを用いてKDDIらしさを出すことに主眼をおいています。

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<auカラー、KDDIカラーを基調にデザインされたサーバルーム>

また、階段室の手すりの色にも東側は生駒山をイメージした緑を、西側は大阪湾をイメージした青を取り入れています。細かな点ですが機会があれば見ていただきたいですね。

柳澤:細部にわたって配慮いただき感謝しています。各所にポイントとしてデザインされている絵やロゴも外資系のお客様にも好評です。データセンターには、各国のお客様が来訪されますので、一目で何の目的の部屋なのかわかることは意外に重要なことですよね。外観のモールス信号によるデザインのユニークさも気に入っています。

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限られたスペース、スケジュールの中で活きる経験と技術力

柳澤:今回の建設に際して、デザイン以外にも色々と工夫して頂いた点があったかと思います。一番ご苦労されたのは、どのような点でしょうか?

大林組:まずは、短工期での大規模ビルの建設案件だったため、限られた工期の中でいかに効率的に工事を遂行するかに最も苦心しました。2014年4月に着工し、2015年7月にビルを完成させるために最も時間の掛かる躯体工事期間中(約6か月)は24時間を4つの作業時間帯に分け、昼夜関係なく作業を行いました。巷でも工事のスピードの速さが評判で「こんな猛スピードの鉄骨建方を見たのは初めて」などとSNSに投稿されたこともありましたね。鉄骨の組み立てと、外装のPC板の作業は同時には出来ないので、夜に鉄骨、昼にPC板(プレキャストコンクリート:外装材の一種)と倍速で作業を進めていき、タワークレーンも通常は1台のところを2台用意して高所作業のスピード化も図りました。一日あたり150トンもの鉄骨を上げ、鉄骨製作会社もフル回転でしたね。

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柳澤:短工期で取り組んで頂くには、様々な工夫が必要だったかと思いますが、具体的にはどのような事なのでしょうか?工期のチェックは、どのくらいの頻度で行うのですか?

大林組:工期のチェックは、日々必ず行います。日割りの工程は午前、午後でチェックしています。そこが我々の業務でもっとも肝心なところであり、作業が遅れたり、予定外の事象が起こった時に何を優先して今どの作業を行うかの判断が日々迫られます。こちらの紙面がそれぞれの工程管理表の一部ですが、全体工程、月割り、週割り、日割りの各工程でチェックしていきます。工程表を見れば、「○○の作業はいつ行うのか?」という問いに「2014年、○月○日です。」と即座に答えられるようになっています。これをもって各業者にタイミングと工程内容について説明を行います。以前は、紙面全てを現場に持ち込んでいたのですが、今はiPadで全てのデータが見られるようになっています。

その他の工夫としては朝礼の実施方法があります。高層ビルにおける作業のため、朝礼を1箇所で行うとなると終了後にエレベーターが混み、それぞれの作業場に辿り着くまでに時間がかかってしまいます。1階と10階のフロアに分け、片方はテレビ会議にするなどして少しの時間も無駄にしない工夫をしていました。

10<工程管理表、一人一台支給されるiPadにて現場でのチェックを行う>

柳澤:工期スケジュールの精密さはプロの仕事ですね。依存作業については分岐して記載され、作業の流れがまとまりで見てわかるようになっているのですね。高層ビルのデータセンターは大規模な機械の搬入が多く、エレベータが混み合い、調整が大変だったのではないでしょうか?また、セキュリティ面の考慮も必要なため、普通のオフィスビルとは違ったご苦労があるのでしょうね。

大林組:揚重(ようじゅう:荷揚げのこと)については、専門の業者を採用して、業者のWEBシステムで予定を細かく管理し、昼夜問わず搬入し続けました。上層階への搬入をクレーンで行うなど高層ビルならではの負荷が大きい部分はありましたね。セキュリティに関しては、追求しすぎると利便性が低くなる傾向にもありますが、例えばKDDI社員用とお客様用のエレベーターを分け、それぞれの立場で利用しやすい環境を提供できるよう工夫しました。

柳澤:お客様用のエレベーターは、ご利用階しかエレベーターが止まらないなどセキュリティを意識しつつも、お客様のご利用しやすさを配慮していただいていますね。また都市部の高層ビルというスペースの限られた中でKDDI側の要求である、「離隔を保った電源/通信ルートの冗長性」、「お客様の導入設備に配慮した天井高のクリアランス」、「部屋の面積」などを満たして頂くのは大変だったのではないでしょうか。

大林組:そうですね。間取りは苦労しましたね。メインのサーバルームだけではなく、仮眠室、会議室、シャワールームなどお客様のリラックスやコミュニケーションを確保し、ラグジュアリーな空間を提供できるか?基本的な条件をクリアするための間取りに苦心しました。設計者の手腕ですね。

柳澤:またデータセンターの安全性を確保する上で非常に重要な安全性についても、KDDIの要求であるJDCC Tier4, 想定される最大級の地震に対してもサーバ室を200gal以下に抑える免震構造を見事に満たして頂きました。

大林組:4種類の免震装置を組み合わせて実現しています。1.鉛プラグ挿入型積層ゴム、2.直動転がり支承、3.オイルダンパー、4.弾性すべり支承 を設置し、大きな地震が来ても、機器を守るための揺れにとどめる工夫を行っています。ちなみに、弾性すべり支承のすべり板は一辺が3.2mで日本最大級ですが、大きさの関係で昼間は道路運搬ができず、警察の許可を受けた上で、夜間に運び込みました。

110万時間、無事故・無災害達成。徹底した安全管理を実施

柳澤:徹夜も含む建築作業時間は110万時間に及んだそうですね。事故があれば作業がストップしてしまいます。この長時間に亘る作業を無事故でスケジュールの遅延も無く進めて頂けたことに感謝しています。社内で安全管理への取組みはどのようなことをされているのでしょうか?

大林組:作業のインパクトを危険度や発生頻度により点数化し、日々の作業に伴う現場の特殊性やリスクを作業に入る前に必ず確認します。その他、高齢者は高所作業をしないようステッカーを付けたりと、周りから安全配慮できる環境を作っていますね。また、ビルの周りはレーザーバリアが張り巡らされ、タワークレーンの吊り荷が敷地境界を出ると警報がなる仕組みになっており、クレーン同士も衝突防止装置を入れているので、相当な不注意がなければ、事故は起きない環境になっています。

柳澤:あと、作業員の安全確保の取組みとしてSMAC(Safety/ Manner up /Ajust /Clean up)活動という取組みも興味深いですね。作業員一人一人のマナーアップやコミュニケーションの円滑化、一般道の清掃など、目の前の危険予知だけではなく、周囲の理解を得ながら作業員一人一人が安全に働きやすい環境が得られるよう様々な配慮をされているのがよくわかりました。本日はお時間頂きありがとうございました。

対談を終えて:

データセンターのビルは大きな構造物ですが、空間的にも時間的にも緻密な設計がされていることを改めて認識させられました。当社の要求する仕様や工期は相当に厳しかったと思われますが、その裏ではこのようなご苦労と工夫があったのかと感心しています。見事に無事故・無災害で工期遅延なく、洗練されたデザインに仕上げていただいたことに感謝いたします。

皆様のお越しの際には是非このプロの作品であるTELEHOUSE OSAKA2をご堪能いただければ幸いです。


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