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アジャイル、DevOpsの必要性。いかにビジネス価値を高めるか?

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アジャイル開発、DevOpsの推進担当の川上です。本日は、KDDIにてアジャイル開発、DevOpsの取組みを始めるにあたりアドバイザーとしてもご協力頂いた、現在、マイクロソフト コーポレーションDevOpsエヴァンジェリストである牛尾 剛さんとDevOpsの意義について議論した内容を掲載します。

DevOpsの定義、どう捉えるか?

川上:DevOpsの概念は広いので説明が難しいですが、あえて一言でいうならば、どう説明されていますか?

牛尾氏:一言で言うと、「ビジネス、Dev(開発)、Ops(運用)が協力してソフトウェアのライフサイクルを改善し、ビジネス価値の創出を改善する活動」と説明していますね。

川上:ではビジネスの価値を高めるために、小さく早くスタートするというLeanや、Agileの概念をより広げたイメージですね。

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牛尾氏:そう捉えてもらっていいです。Opsも入って、そこも改善しないと行き届かないんですね。DevOpsの歴史を紐解くとリリースサイクルの改善というテーマがあり、頻繁に安全にリリースしないと競争に勝てない。Dev-Opsの間が一番の溝で、日本の場合は別会社だったりする。難易度は高いがそこを合致させることで効率がぐんと上がります。ビジネス価値を生み出すようなサイクルの速さを生み出していくことができるようになるんですね。

川上:今までの一般的なウォーターフォールをやっていたら、リリースまでに1~2年はかかりますもんね。それではとても競争には勝てません。現在KDDIでもお客様にモバイル提供するまでにたくさんのアクティビティをこなさないと端末を提供出来ない状況にあり、開発だけではなく営業、企画、運用、マーケティング部門を巻き込んで根本的な問題の洗い出しを行っています。技術、システムを改善すればできるものもあれば、組織を変えないと出来ないものもあり、この取組み自体がDevOpsなのかなと思ってますね。日本では、DevOpsと言えば開発中心の話と捉えられ、営業や企画の人は無関心だったり、そこがなかなか変わっていかない、DevOpsが浸透しない理由でもあるのかなと思いますね。

牛尾氏:なるほど、良い視点だと思いますね。僕の意識の中でもDevOpsは3年くらいに流行って今はすたれているんですよ。当時は技術中心で、Infrastructure codeを書けるようなカッティングエッジな人々がChefを試して面白いな~と感じていたが、日本では継続しなかったんですよね。もう飽きられている。USでは現場でChefが利用されていて、そこが大きく違う。メリットはあるが、そこがまだ理解されていない状況ですね、日本は。

早くリリースしてフィードバックを得る「アジャイル+α」がこれからは必要。

川上:日本企業、また大企業になるほど、DevOpsの実現は難しいと感じていますが、海外ではどのような成功事例がありますか?

牛尾氏:DevOps Enterpriseというイベントで発表された事例で全米2位のリテールカンパニーが、「10 deploys per day」を実現しています。3か年計画とかを今まではやってきたけど、スピード感、要件が厳しくなってくるので、今ではまず、デプロイして意見を募る方法へと切り替えました。Canary testingという手法で、1部のお客様だけに実際のプロダクションをリリースし、技術的なものだけではなく、「儲かるのか」「revenueがスケールできる状況にあるか」「お客様は使ってくれているのか」などプロダクションからデータをとって活かしていくほど発達しています。アジャイルのように「いかに効率的に開発できるか」から一歩進んでプロダクションを早くリリースしてフィードバックを得ることが今は重要になってきているんだと思いますね。それも含めないとうまく回っていかないし、ビジネスバリューがでるかわからないですからね。「アジャイル+α」がこれからは必要だと思いますね。

川上:上の人のコミットがあれば、できそうな話ではありますね。小さな投資から進められるといいですね。1ヶ月単位でやってみて、反応がわかるなら継続していこうじゃないかと。気軽にチャレンジできればいいですね。

「大企業で小さなチームが運用できれば、スタートアップのテクニックが有効」

牛尾氏:これからのエンタープライズ企業として、KDDIには先陣をきってもらいたいですね。最近の大手企業は、スタートアップにやられっぱなしじゃないですか。それはスタートアップの方がDevOpsが浸透しているからというのも理由の一つだと思うんですが、大企業でスタートアップのように小さなチームを運用できれば、スタートアップのテクニックが有効なわけですよ。そうなるとリソースが潤沢にある大手が断然、有利となってくるわけです。KDDIも大企業でありながら、チーム自体は小さいもので回してますよね。小さいチームを組み合わせて大きなプロジェクトを成功させていってもらいたいと思います。

川上:大手企業だと、組織の壁などもあり、やる前に諦めている気がしますね。それは勿体ない。実際にやれば出来る事は数多くあるし、上のコミットが必要であれば、コミットを取りに行けばいいし。何でも前向きに考えればできるんじゃないかと、実際にKDDIでのアジャイル開発をカタチにしてきたので実感してますね。

KDDI のDevOps、アジャイルの取り組み、「KDDI方式」を作りたい

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川上:KDDIがアジャイルを進めていく中で、今までのビジネスガイドラインの適用が出来なくなり、ウォーターフォール開発の際には開発部門だけで検討していたガイドラインも、企画、運用のメンバーにも入ってもらわないと回らなくなってきました。ガイドラインを適用しないとそもそもリリースできないし、ガイドラインは運用部門も見なければいけないから、無視するわけにはいかない。ガイドラインをトリガーに3部門のチームができた感じです。うまいこと作ってしまえば皆が協力して従うしかないよねと。これが成功すれば、自動でDevOpsできるんじゃないかと企んでます。

牛尾氏:いいですね。KDDIのアジャイル、DevOpsの導入はエンタープライズ企業の星だと思うんですよ。ある意味、圧倒的。スタートアップあがりではなく、そこまでやっている企業はないと思う。本質を理解して、適切なメンバーも集め、テスト駆動や自動化もしっかりやって、マインドセットで企画の人を巻き込み、そこまでやっている日本のエンタープライズ企業で他にあるのかな?という勢い。現場のパッションもあるし、上のコミットもある。揃っているというのが大きいかもしれないし、ビジョンが素晴らしいですよね。

川上:トヨタ生産方式を生み出したのがすごいと言われてますが、我々はKDDI方式のDevOps、アジャイルを作りたいと。日本のアジャイルと言えば、KDDIと言われるぐらいまではなりたいというパッションを持って皆やっていると思いますね。今後ともアドバイス宜しくお願いします。本日はお忙しいところありがとうございました。

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日本マイクロソフト株式会社 品川本社へ伺いました。

牛尾 剛さんプロフィール:
マイクロソフト コーポレーション/シニア テクニカル エバンジェリスト DevOps


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