クラウドサービス開発部 松本です。先日(2015/10/27~30)開催された、OpenStack Summit Tokyo 2015 におきまして、弊社KCPS開発リーダーの前原がCleversafe社のセッションにて講演を行いましたので、その様子をレポートします。
OpenStack Summit Tokyo 2015
OpenStack は、クラウド基盤を構築するためのソフトウェアで、オープンソースとして開発されています。その開発者、利用者、関連ベンダが一堂に会して、技術情報交換、導入事例発表、今後の開発方針の策定等を行うイベントとして、「OpenStack Summit」 が年2回開催されており、今回は東京での開催となりました。Cleversafe 社は同社ストレージ製品のOpenStack対応にも力を入れており、Summit内のセッションとして、Morris社長による同社のOpenStack対応に関する講演が行われました。その講演の中で、弊社前原より、日本国内におけるCleversafe製品の大規模導入事例として、KDDIでの取り組みを紹介させて頂きました。
セッションの模様
Cleversafe John Morris氏
まず、Morris社長から、Cleversafe社自体の紹介、同社製品のOpenStack対応に関する発表がありました。
・画像、動画、遺伝子情報等の非構造化データの爆発的増加
・Cleversafe製品にて、大容量(PBレベル)の非構造化データへの対応が可能
・従来のストレージやクラウド上のストレージサービスと比較しての大幅なコスト削減が可能
・OpenStackへの技術的対応(Swift/Keystone API連携)
また、2015/10/5にIBM社によるCleversafe社の買収が発表されており、講演の中で「IBMの一員として、クラウドの分野へビジネスの幅を広げていく」とのコメントもありました。今後の同社のビジネス展開についてWatchしていきたいと思います。
KDDI 前原 剛
続いて、弊社前原から、KDDIでの大規模導入事例の紹介が行われました。
・コンシューマ向けに、auスマホ内のアドレス帳や写真等のデータをお預かりするサービスを提供
・18億枚の写真、3千万本の動画を保存するマルチペタバイトクラウドに成長
・99.999999999999% (14ナイン) の堅牢性を実現
・コンシューマ向けの実績を活かして、法人向けにもクラウドストレージサービスを開始
プレゼンにて紹介した「なぜKDDIはCleversafe製品を採用したのか?」の部分について、少し深堀して記載させて頂きます。Cleversafe製品を採用した理由は以下の3点になります。
1点目が「拡張性」です。Cleversafe製品はシームレスな拡張性を有しており、無停止かつ無制限に容量を拡張していくことが可能です。従来、マスタ型、P2P型と呼ばれるストレージがあり、マスタ型にはマスタノードが必要であり、そこがSPOFやボトルネックとなる欠点があり、P2P型には容量拡張に制限があるといった欠点がありました。Cleversafe製品はそれらのいいところどりの設計で、欠点がなく、KDDIでもPBレベルの容量拡張を何回か行っていますが、全く問題は発生していません。
2点目が「品質」です。2011年の震災の経験からも、データを分散して保管することの必要性が認識されています。KDDIでは3つのデータセンターにデータを分散配置し、仮に1つの拠点が被災した場合にも、残りの2拠点のデータから復旧可能な設計としています。また、99.999999999999%(14ナイン)という驚異的な堅牢性を実現しています。
3点目が「コスト削減」です。従来のストレージでは、2拠点構成、かつ拠点内でミラーリングを行うため、実容量の4倍のディスク領域が必要となっていました。一方Cleversafe製品では、「Erasure Coding」の技術により、実容量の1.7倍のディスク領域のみ必要となり、大幅にディスク領域のコストを削減することが可能となりました。
終わりに
今回のCleversafe社/KDDIのジョイントセッション、海外の方の聴衆も多く、また講演後いくつか質問も頂く等、活気のある有意義なセッションとなったのではと思います。なお、講演の模様は以下で閲覧可能ですので、併せてご参照頂ければと思います。
Cleversafe – KDDI and Cleversafe present: web-scale Storage for a Data-Driven World
また、OpenStack Summit 全体に関するレポートも別途掲載予定ですのでご期待下さい。