長らくTELEHOUSE OSAKA 2 の建設状況を写真でお伝えしてきましたが、2月頃から外面の変化がなくなっていました。その間、建物内部の工事を着々と進め、8月21日にサービス提供開始となりました。オープン記念で今回から3回連続で関連記事を掲載します!さて、第一回目は設備公開です。お客様動線に沿ってご紹介していきます。ちなみに、TELEHOUSE OSAKA 2のスペックは1ラックあたりの供給電力 最大30kVA、平均15kVA(いずれも定格)、PUE1.37(設計値)等々です。詳細についてはこちらをご覧ください。
[ビル外側~エントランス]
まず、データセンタービルに近づくと目に入ってくるのは免震構造(普通の人は目に入らないですか…)とこの看板です。
20階建の建物なのですが、東日本大震災、阪神淡路大震災と同規模の地震が発生したとしてもサーバ室を最大200gal以下に押さえる設計になっています。そのため、ビルを横に最大90cmずらしながら地震エネルギーを逃がす免震構造を取っていることが記載されています。
次は外壁です。写真では少しわかりにくいのですが、よく見ると縦に線が刻まれています。あるメッセージがある方法で刻まれています。※答えはこの記事の最後に記載します。
ビルに入ってみましょう。シャープなエントランスが皆さんをお迎えします。
[TELEHOUSE フラッパーゲート~サーバ室]
TELEHOUSE専用入口を進むと、TELEHOUSEのロゴプレート、フラッパーゲートが待ち構えています。
ロゴプレートの下の装置で、ICカード認証と生体認証を行い、フラッパーゲートを通ります。
フラッパーゲートの動き
ゲートを通ると、休憩室や仮眠室が用意されています。作業でお疲れの時にご利用頂けます。(ただし、仮眠室は予約制)
さて、このデータセンターのセキュリティを概観しておきます。下の図のとおり6段階のセキュリティでラックまでのアクセスを制限しています。
すでに、この図でいう第2セキュリティのフラッパーゲートをご紹介しましたが、第3セキュリティでのエレベータでは、ご契約階にしか止まらなくなっています。ご契約のサーバ室に入るときは、前室に入る必要があります。前室に入るためにIDカード+生体認証を行い(第4セキュリティ)、前室に入った後、IDカードでサーバ室に入りますが、前室には2人以上いるとサーバ室のドアが開きません(第5セキュリティ)。最後にラックキー(第6セキュリティ)によりお客様のラックを開けることになります。
さらに、6段階のセキュリティに加え、監視カメラが不審な人物・行動を見張っています。
[サーバ室]
こちらがサーバ室です。最大30kVA/ラック、平均15kVA/ラック(定格)の供給電力、床荷重は1.5t/㎡まで対応しています。階間を大き目に取っていますので(フリアク~化粧天井 3,000mm)、ケージで囲えば、ラック上にケーブルランナーを設置することも可能です。
ところで、壁や柱に青とオレンジのマークがしてあります。なんだかわかりますか?ヒントは次の写真です。
実は色が、コールドアイル(青)とホットアイル(オレンジ)を示しています。冷たい空気(青)がフリアク下から噴き出てきます。ラック全面から吸気して、ラック背面から暖かい空気(オレンジ)になり排気され、天井に吸収されていきます。青は当社のコーポレートカラー、オレンジはauブランドカラーで、寒色、暖色ともうまいこと表現しています。
[空調設備]
次は、サーバ室の隣にある空調機(AHU: Air Handling Unit)です。このデータセンターでは高効率の空冷モジュールチラー方式を利用しています。屋上にモジュール型の空冷チラー(室外機)があり、サーバ室隣のAHUとの間で冷水を循環させ熱交換します(図の(1))。水冷式(図の(2))は冷却塔があり、水の気化熱と冷凍機で冷水を冷やしますが、空冷モジュールチラー方式は空冷チラー内部の冷媒と冷水が熱交換を行います。熱を受け取った冷媒をコンプレッサーで圧縮し、空気で冷やす(空冷)ことで、再び冷水と熱交換ができるようになります。メリットとして省スペース、水の消費がない(冷水が密閉されている)等があります。
その屋上の室外機に辿り着く前に、寄り道です。データセンターには機械だけでなく、お客様も入退室されます。(言語によらず、)直観的に用途がわかるようなサインが壁に描かれています。
さて、屋上です。これが空調設備の空冷チラー(室外機)です。大きなラジエータみたいなものが、ずらっと並んでいます。ここで冷水が、チラー内の冷媒を媒介して空気で冷やされ、サーバ室に戻っていきます。
屋上に高層ビルならでは面白いものがありました。この四角い柱は何でしょうか。正解は… 少しだけお待ちください。
屋上に階段があったので、上ってみましょう。なんとヘリポートがあります。このヘリポートは火災発生時の消火救助活動用に設置されています。
屋上からの眺め
そろそろ、四角い柱の解答です。正解は…、非常用発電機の煙突です。非常用発電機が設置されているフロアから屋上まで排気を運ぶためのものです。
[電源設備]
特別高圧77kV受電変圧器、UPSと非常用発電機です。緻密な設計により大規模な設備を各階に効率的に配置しています。
非常用発電機は、日本最大級の6,000kVA(多摩は4,500kVA)です。
この6,000kVAクラスの非常用発電機は日本で10台前後と聞いています。
[免震層]
最後は免震層です。弾性すべり支承、積層ゴム、直動転がり支承、オイルダンパー の4種類の構造物で20階建てのビルを地震から守ります。滑らせて地震エネルギーを逃がしたり、地震後の揺れ(エネルギー)を吸収してビルの揺れを押さえたりします。
冒頭でビルが最大90cm横に動くとご説明しましたが、そのための設備がこの免震層にあります。弾性すべり支障のすべり板は一辺が3.2mありますが、日本最大級です。
[環境エコラベル]
KDDIでは、2015年8月21日から、温室効果ガスを減らし環境に優しい当社ICTサービスに対し「環境エコラベル」を付与する取組を始めました。その初回付与案件の一つとしてTELEHOUSE OSAKA 2が選定されています。
低PUE設計により、従来型のデータセンターサービスと比較して温室効果ガスを約21%の削減効果が見込んでいます。また、環境を配慮した設備としてLED照明や太陽光・風力発電による街灯を設置しています。
詳細については、こちらのニュースリリースを併せてご覧ください。
[まとめ]
今回は、設備をお見せしました。日本最大級の設備があることと、ちょっとクールなところが、このデータセンターの特徴です。次回は構築に携わった株式会社大林組さんと当社設計担当とのインタビューを掲載します。その関係もあり、お見せした設備の写真に対してのコメントを出し惜しみところもありますがご容赦ください。次回の記事で、設備のこだわりや構築にあたっての困難等、皆様にお伝えできればと思います。
[データセンター構築状況]
TELEHOUSE TOKYO Tama 3 の構築状況です。
外側はあまり見た目が変わりませんが、外壁の模様が見えてきました。来年初頭の竣工が楽しみです。
【外壁のメッセージ】
「―・― ―・・ ―・・ ・・ --- ・・・ ・- -・- ・- ・・- - ・- ・・・・・」(KDDI OSAKA 2015)と刻み目で彫ってあります。モールス信号です。お越しいただいた方はご確認ください。