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KDDIアジャイル ~KDDIとパートナー企業が一丸となる関係づくり~

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KDDI Business IDプロジェクトリーダーの川上です。KDDI Business ID(以下、KBI)は内製によるアジャイル開発にて行ったというお話は以前にこのブログでもお話していますが、開発パートナーとして、株式会社アットウェア、グロースエクスパートナーズ株式会社の2社にご協力頂き、実際の開発部分をKDDIメンバーと共に支えてもらっています。パートナー企業を1社にせず、2社とマルチベンダーにこだわり開発チームのメンバーを募集させていただいたのは、SIerにより得意分野が異なり、それぞれの分野のプロフェッショナルが集結し、強みを発揮できればよりクオリティの高いサービス開発が可能と考えたからです。但し、それぞれが異なる文化や業務経験を持ち、今までは全く別の場所で働いていたメンバーが集まって今日から仕事をはじめても、最大の成果を出そうとしても、それは容易なことではありません。発注側、受注側のそれぞれが歩み寄り、工夫し、同じ目標に向かって結果を出していくまでの道のりについて、今回はKBIの開発にご協力頂いた株式会社アットウェア 福社長である北野 弘治さんと対談した内容を掲載したいと思います。

まずは、アイスブレイクから。パートナーシップを築くための試み

2川上: Agile Japan2015を大盛況のうちに終え、世の中のアジャイル開発への関心の高さを再認識していますが、今回は、アジャイル開発に携わるユーザ企業とパートナー企業の関係づくりという点にフォーカスして議論していきたいと思います。KBIの開発に2社のマルチベンダーへ協力をお願いしましたが、マルチベンダーであることもあり関係づくり等の不安はありましたか?

北野氏: KDDIの皆さんがよくアジャイル開発について勉強されていたので、最初は非常にやりやすいという印象を受けました。ただ、お互い知らない人だらけでどう付き合っていけば良いのかわからない、最初のステップは重要な部分で、アイスブレイクなどの時間を設けてメンバーと趣味や好きなものの話などをさせてもらいましたよね。そういった話に付き合ってくれたというのもあり、大丈夫だろうという気持ちになりました。ランチなどもご一緒にする機会も増え、3ヶ月くらい経ったところでチームとして成り立っていくという自信が出てきましたね。サービスリリース後の打ち上げでは、KDDIを中心としたパートナー企業などの皆が一丸となって喜び合っているところを目の当たりにし、自分自身も開発メンバーとして現場に入れなかったことを非常に寂しく思ったほどです。

川上:最初は、麻雀や自転車の話からしましたよね。打ち上げでは、リリースするまでの不安な思い等を共有し、乗り越えた喜びを皆が同じように感じていたと思います。スタート当初、コミュニケーションの重要性は、頭では意識してよくわかっていたつもりですし、だからこそ上手くやらなければならないという想いと、PO(プロダクトオーナー)として成果物を出さないという制限のある中で、狎れ合いにならない関係を模索していました。お互いに思いやりすぎると、意見が言いづらい事もでてきますからね。その匙加減は難しいなと思います。

北野氏:あとは、プロジェクト開始時にインセプションデッキを作る場を設け、「このプロジェクトは何を目指し、何を作ろうとしているのか」という共通理解をもつために、ゼロベースからの話し合いを行いましたね。アジャイルのいいところは、そういった考えや想いを関わっているメンバー全員の前でさらけ出して話し合い、相互の理解を深めていくことができることだとも思っています。

責任分界点を設けない、責任の全ては発注側であるKDDIが負う覚悟

北野氏:うまくいかない例を申し上げると、アジャイル開発のプロとしてプロセス提案を行い、メンバーとして一緒に開発をスタートさせるのですが、上手くいかなくなった時にプロセスのせいだと一方的に判断を下され、どうしてくれるんだと。経緯報告書や始末書というケースも稀に出てくる場合があります。我々としては、全てが弊社のメンバーではなく、お客様のメンバーも入ってくる中で開発方法のプロセスも一緒に改善していくという姿勢がないと非常に難しいなと感じています。

川上:責任分界点を設けてしまう時点で受発注の関係でチームに成りきれないですよね。我々は、一緒にやっていきたいという想いが強くマルチベンダーでやる、チームも会社ごとに作るのではなくミックスする、などをKDDI側で決めた時に全てのリスクはKDDIが負うという覚悟はありました。自分達で言い訳できない環境に持っていき、自分達で責任を持つ覚悟を決めました。

北野氏:我々も同じで、お客様のビジネスに対して、どうすれば作っているものが意味を成し結果として売れるのか?どうすれば利用者が使ってくれて喜んでくれるのか?という点に、無関心というスタンスではダメだと思うのです。むしろお客様のビジネスについて積極的に理解し、お互いがお互いの勝手口から入っていく歩みよりが大事ですね。会社を超えて不得意な点をカバーするという点も見られ、ユーザ企業中心として、マルチベンダーでこれだけうまくして回している事例をあまり見ないですよ。

KDDIメンバーもエンジニアとして配置することによる相乗効果

川上:マルチベンダーによる共同開発で上手く業務が回った理由として、開発のメンバーにエンジニアとしてKDDIメンバーが入っていたことも大きかったと思われますか?

北野氏:その影響は大きかったと思います。PO(プロダクトオーナー)だけで、エンジニアは別組織となってしまうとどうしても受発注の関係であり、ウォーターフォール的な開発になってしまいます。コードを書けるKDDIメンバーがエンジニアとしているからこそ、バリューが出せていない時期にも理解してもらえる点も多かったと思いますし、言葉で説明するとたわいもない、細かい内容であっても非常に難易度が高かったり、そういったことをPOに説明できる人がいることで、状況の理解が深まりスムーズに事が運んでいきますからね。

川上:KDDIメンバーもエンジニアとして配置されることで重要な技術についての理解が深まり、技術力が飛躍的に向上しました。お互いに得るものは大きかったと思います。アジャイル開発では、皆が同じ場にいて状況や雰囲気がわかるのもメリットだと思います。皆が必死に業務に取り組んでいて、もっと良くするためにはどうしたらよいかを夜中まで議論している人たちに対して、少しアウトプットが出ない時があったからといって、「なんでなんだ?」とは言えないですよね。現場が見えているというのは非常に大事なのだと思います。

北野氏:我々も自社で、お客様のオフィスから離れた場所での開発を行っているプロジェクトがありますが、お客様に弊社まで足を運んでもらってみてもらわないと現場が見られないので、問題は他にあったとしても、顔を合わせていない分、不安が蓄積するという問題はありますね。状況を説明したところで現場が見えないために理解されないということも場合によってはありました。現状として、その点については色々創意工夫をして、リモート開発でも同一ロケーションと変わらないアジャイル開発を進めていけるように改善し続けています。アジャイル開発の基本は、チームメンバが同じロケーションでやるというのはコミュニケーションの原理からしても当たり前ではあると思います。

 アジャイル最大のメリットは変化に対応できるスピード感

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北野氏:アジャイル開発でサービスを開発されて、何が一番良かったと感じていますか?

川上:圧倒的にスピードが違いますね。テスト、自動化の仕組み、リリースの工数など、全てを細かい単位でリリースできる分、失敗もなくリリースしやすくなります。好循環でスピードアップが図れ、最近の例では営業から要望があったものを2週間で開発しリリースできている。今までのウォーターフォール型の開発では、9か月前にエントリー、6か月前に仕様フィックス、半年後にリリースというようなリードタイムであり、市場の流れと合わない状況でした。9か月後に他社がどんな機能を出すかなんて誰も読めないですからね。今は、1ヶ月前に要望をいってくれれば何とかします、というスピード感に変わりました。

北野氏:できるだけ詰め込んでリリースするというスタイルが大企業としてまだまだ多い中、1サービスを徐々に成長させてという取組みは、大企業であるとなかなか見られないですよね。

能動的、自立的な開発者の育成

川上:我々KDDIでは、アジャイル開発の経験が豊富なアットウェアに開発プロセスを主にリードしていただき、メンバーの能動的、自立的な提案に助けられ、大きな成功要因となったと感じています。そのような人材育成の観点で、アットウェア社内で取り組まれているようなことはありますか?

北野氏:弊社では組織のあり方・組み方などを社員と役員全員で、どうしたら良く機能するのか?どうしたら能動的・自立的に動けるようになるのか?会社のビジョンだけではなく個人・チームが満足を得られる成果に結び付けられるのか?を頻繁に話し合っています。以前は、案件の全てを役員がマネジメントしていたため、メンバーへの権限委譲の範囲などの問題などがありメンバー自身で物事を決められないなど、当時は組織力としての限界を感じていました。そこで、問題を見直し、社員一人ひとりが伸び伸びと仕事ができ、組織を意識しながらリーダシップが取れる構造へと変化させるため、チームという組織構成を取ることを決めました。今では、チームは「自己組織」「権限委譲」などを進めていくための我々の組織としての要になっています。また組織というのは完成することは無いと思っています。常に時間と共に変化しますから、常に状況を共有し、問題を改善し、変化させていく。それらができる組織として、アットウェアの組織自体が柔軟であり続けなければならないと思っています。そういう環境がアットウェアにあること。それが、弊社メンバーの自立性をより高めていると信じています。

成功のためのチームづくり

川上:今後、アジャイル開発を始めようとする企業も多いかと思うのですが、何かアドバイスはありますか。

北野氏:ユーザ企業も開発企業も一緒になって取り組むという姿勢が一番重要かと思います。それがないとどちらかに負荷が偏ってしまう。お互いに「それはあなたたちが解決すべき問題でしょ」というスタンスでは最大のアウトプットがでないですよね。何かあった時の言い易さにも繋がる。契約書に書かれた事をやっていればいいのではなく、プロジェクトを成功するための組織を超えたチームの和を組むことが大事ですね。

川上:このチームの輪をキープしていきたいですね。今の感覚をナレッジとして代々として受け継いでいくようなものにしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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今回KDDI Business IDの開発メンバーとして参加頂いた左からアットウェア矢納さん、荒木さん

◎北野 弘治さんプロフィール
株式会社アットウェア 取締役 “福”社長。社会をしあわせに導くという想いを込めて“福”をつけている。
1975年 福井県生まれ。アジャイルプロセス協議会 運営委員 見積契約WGリーダ。横浜Scala勉強会 共同主宰。
前職でアジャイル開発、XP、TDDを全国に普及する活動を経験。その後、フリーカメラマンを経て、再びIT関連で独立起業。
2008年より現職。


Google Atmosphere Tokyo 2015 へ出展します!

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Google Apps 担当の安藤です。
昨年に引き続き、Google社主催のビジネス向けイベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」に出展します。

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◆Google Atmosphere Tokyo 2015◆

開催日:2015年6月17日 (水)~6月18日 (木)

会場 :六本木ヒルズ 東京都港区六本木6-10-1

参加費:無料(事前登録制)

詳細・申込はこちら
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六本木にあるGoogleオフィスに行ったことがありますか?ビリヤード、卓球など会社としては〝ありえない”設備が点在しています。そんな環境が生み出す抜群の発想力から創出されるGoogleのビジネスの世界。イベントでは、そんな世界をご体感いただけます。(昨年の様子はこちらの記事をご参照ください)

KDDI出展コーナー

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イベント準備中です!

昨年1,000社以上の企業様に Google Apps for Work を導入した実績をもとに、それぞれの企業様の状況に最適な活用方法をご紹介いたします。Google Apps に興味がある方や気になっている方はこの機会に是非、ブースへお立ち寄りください。Rising Star Award 」受賞記念として、Googleグッズなどが高確率で当たる抽選会も実施します!

ランチセッション

図3

昨年の様子

既に予約にて満席となっておりますが、以下の内容でセッションを行います。当日の様子は、後日レポート記事にて報告します。

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日時:6月17日(水)12:00~12:40

講演者:KDDI株式会社 クラウドサービス企画部長 藤井 彰人

ビジネスの世界においても、今後、益々クラウドの導入が進み、複数のクラウドをどう使い分け、どう連携させていくかといった新たな課題が生まれてきます。ランチセッションでは、クラウドの動向をご紹介するとともに、KDDIが描く今後の「ビジネス&クラウド」の世界をご紹介いたします。
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データセンター運用者に密着!安心を提供するTELEHOUSE運用の裏側 ~運用者インタビュー編~

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データセンター企画リーダーの柳澤です。今回も前回に引き続き現場取材を行い、TELEHOUSE TOKYO Tamaの運用者へのインタビューをお届けします。インタビューにご協力いただいたのはTELEHOUSE TOKYO Tama のDC運用チームの運用者 萩原さん(右)と岡さん(左)です。

データセンターの運用業務とは

柳澤:まずは、データセンター業務を理解する上で、運用者が日常、どのような業務をこなしているのかを教えて下さい。

運用者:基本的には、受付、巡回、各種立会い、電話受付、障害時の対応、お客様向けレポート、及び作業手順書の作成など、1日に数多くの業務を目まぐるしくこなしています。お客様からは”受付”としか見えていない運用者も、お客様からの急なトラブルやご相談を受けた時が腕の見せ所です。”いかに迅速に判断して、柔軟な対応ができるか”を常に意識して業務に取り組んでいますね。

図2

柳澤:前回、非常用発電機の点検を見学させていただきましたが、他にもいろいろな設備の点検がありますよね。

運用者:ファシリティ点検は、空調機やセキュリティシステム、エレベータなど各機械ごとに点検計画を年間で立てて、実施しています。

柳澤:保守のための機器交換作業はどの程度の頻度であるのでしょうか。

運用者:TELEHOUSE TOKYO Tama の建物・設備は5年未満と新しいので、大規模な交換作業は無く、空調のフィルター交換程度ですね。

柳澤:運用体制はどのようになっていますか。

運用者:休日や夜でも対応可能なように輪番体制をとっています。班構成はインフラ担当、サービス担当を含むだけでなく、管理職も必ず輪番メンバーに入っています。

柳澤:いつ、どんな災害や障害があっても迅速に状況を判断し、実行できるようになっているのですね。

運用者:また、重要なのは災害時のお客様への連絡です。KDDIのインフラ設備に問題があった場合にはお客様に必ず連絡しなければなりません。お客様ごとに何分以内に第一報を連絡する等のコミットをしているため、定期的に決まったフロー、やり方でお客様へ能動通知を行う訓練を実施しています。お客様によりどこまで詳細情報が必要となるかは、多種多様です。お客様と取り決めた運用保守要領書に従って複数のパターンに一つの間違いもなく実行できるための訓練を行い、怠りなく準備をしています。

柳澤:3.11の東日本大震災時には設備の被害はありましたか?

運用者:施設自体が非常に堅牢な作りになっていますので、インフラ設備に問題が発生する事はありませんでした。また、停電も無かったため、非常用発電機の稼働もありませんでした。ただ、あの時期は地震が頻発したので、運用部門は頻繁に設備状況を確認し、フロント部門と連携しながら、計画停電が無くなるまで、お客様への定期報告を実施しました。震災当日は電車が止まりましたので、多くのお客様がデータセンター内に残られましたが、ケガ人も無く、翌朝無事に帰路につかれ、安心したのを覚えています。

柳澤:運用者はお客様に、「当ビルに残るのが一番安全です」と自信を持って言える施設ですね。

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東日本大震災でもビクともしなかった免震構造

お客様第一の運用を目指して

柳澤:データセンターの運用業務をやる前と今で、仕事の印象の違いはありますか。

運用者:運用者は、設備の知識、技術力はもちろん、営業的、サービス業的な要素もある業務と思っています。そのためスタッフは、対人能力の高い人材の集まりであり、お客様対応のプロでなければと思っています。いかにお客様に気持ちよく対応できるか、お客様の要望に応えられるかを意識し、技術的知識を持合せるだけではなく、お客様の気持ちがわかる運用者でありたいと思っています。

図4

柳澤:仕事の大変さという点で、他に何かありますか。

運用者:件数でいうと1か月あたり1,500~2,000件の案件数を対応しています。内容としては小さな業務の積み重ねではありますが、決してミスは許されず、お客様にご迷惑をかけることのないよう100%パーフェクトに対応することが求められます。これが運用業務の大変さでもあり、やりがいでもあると思っています。KDDIサービスに関しては幅広い知識を持ち、お客様からのイレギュラーなご質問にもピンとくるよう、お客様目線での情報アンテナを張り巡らせていることは重要だと思っています。

「24時間、365日、守るのが使命」運用者のやりがい

柳澤:この仕事のやりがいはどんなところにありますか。

運用者データセンターの運用は、24時間、365日継続してサービスを提供し続ける通信キャリアそのものの業務であり、KDDIフィロソフィにもありますが、「24時間、365日、守るのが使命」と思っています。100%やって当たり前、安全で当たり前の世界なのですが、それらを確実に実現しているのは自分達である事を誇りに思っています。

柳澤:お客様からの評判もやりがいに繋がりますよね。TELEHOUSE TOKYO Tamaは、世界各国のデータセンターと比較しても、設備・運用の品質でトップと評価していただいているお客様もいらっしゃいますね。

運用者:そうですね。ご利用のお客様、見学に来られるお客様からは高評価を頂き、メンバー一同、大きな励みになっています。

お客様満足度向上のために

柳澤:どのような点をお客様に評価されていると考えていますか。

運用者:お客様の要望を実現できる方法を懸命に考えていることではないでしょうか。運用だけで無く、企画、建設、営業、フロントSEが一丸となってお客様のご要望を実現するチームワークが成果として評価されていると思っています。

柳澤:お客様要望に対応するプロセスも評価いただいているんですね。

運用者:自社ビルで運用しているのも大きいと思います。設備構成の変更等もきめ細かく対応できますし。ビルを建てる時の構成もカスタマイズが可能なように多数の配慮がされていることも大きいと思います。

柳澤:他に、お客様満足度向上の取り組みはどんなことを実施していますか。

運用者:運用者間でのナレッジ共有を大切にしています。対応者によっての対応に差がでないよう、問合せログをシステムで共有するのはもちろん、朝礼・夕礼での情報共有を1日2回、365日欠かさず密に実施しています。チームで成り立っている業務ですのでフェイスtoフェイスのコミュニケーションは重要です。

柳澤:チームワークによってピンチを免れたなどのファインプレー事例はありますか。

運用者:ファインプレーとはその前にピンチを迎えてしまうということだと思います。そもそもデータセンターの運用は、ピンチを迎える状況を作ってはいけないのです。ピンチな状況を迎えることなく、あらゆるシーンを想定してリソース配分し、定期点検を行い、知識を身に着け、100%に近い形で安全、安心を提供し続けているのです。

柳澤:ありがとうございます。これからも安全、安心なデータセンターサービスを提供するために、引き続きよろしくお願いします。

まとめ

前回から2回にわたってTELEHOUSEの運用現場をお伝えしてきました。データセンターは建物規模や消費電力の莫大さに注目が集まりますが、実際の運用はきめ細やかです。2回の記事を通じて、安心、安全を提供している運用者の温もりを感じていただけたならば幸いです。

データセンター構築状況

TELEHOUSE OSAKA 2、TELEHOUSE TOKYO Tama 3の構築状況です。

図5

大阪は前回と変化がわかりませんね(2015年8月 開業予定)。建物内部の設備実装を実施しています。多摩(2016年2月 開業予定)も外観がかなり仕上がってきました。3棟並ぶと大きいですね。

Google Atmosphere Tokyo で語られた「働き方のこれから」

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Google Apps 担当の安藤です。6/17(水)、18(木)の2日間、先日お知らせしました「Google Atmosphere Tokyo 2015」が開催されました。今回のイベントでは、『「働き方のこれから」が、ここで見つかる。』のテーマ通り、昨年に比べ、より実務的な展示やセッションが多くみられましたのでレポートします。

■基調講演

Day1の基調講演は、Google Inc. Google for Work 担当社長 アミット シング氏の「イノベーションを起こすメカニズムを解剖する。」と題したキーノートでスタートしました。今年は、現在も先進的な進化を続ける Google for Work の各サービスを実際のエンドユーザ様を含め、Google ハングアウトのビデオ会議や、スプレッドシートやプレゼンテーションの共同編集など、実業務でごく自然に活用している事例が多くに紹介されました。もはや Google Apps for Work はこれまでのイメージであった先進的な企業だけのものではなく、多くの企業で多くの方々に広く活用いただけるITツールになったということですね。また、Day2は昨年に続き、グーグル株式会社 Google マネージングディレクター、APACブランド&マーケティング担当、 CMO, Japan Women@Google Japan チャプターチェア 岩村 水樹氏が登壇し、「Women Will : 女性が働き続けられる社会へ – 働く意識の改革とテクノロジーで、実現する新しい働き方」と題し、Google が推進するプロジェクト Women Will について紹介されました。実はKDDIもこのWomen Willによる「未来への働き方コンソーシアム」に参画し、ITを活用した女性の社会進出を支援に取り組んでいます。KDDIはこのWomen Willだけでなく、多様性に富んだ働き方を支援させていただくべく、これからもGoogle Apps for Workの活用をご提案していきたいと思っています。

■KDDIセッション

図1
KDDI株式会社 クラウドサービス企画部 部長 藤井 彰人
「これからのクラウドの使い方~モバイル、ネットワークとクラウドで広がるKDDIクラウド戦略~」

KDDIセッションでは、「企業における複数クラウドサービスの活用」をテーマに、クラウドサービスの浸透とともに課題となってきている”ID管理”や”データ連携”について、今後のあるべき姿を説明しました。”ID管理”では、ログイン時に携帯電話を活用(着信認証機能)してセキュリティを強化できる「KDDI Business ID」を利用したシングルサインオンを紹介しました。また、”データ連携”については、FAXを Google ドライブ で送受信ができる「KDDI ペーパーレスFAX」(2015年9月提供予定)の発表や、Google Apps と Office 365 のカレンダーを共有できる「カレンダー外部共有サービス」(サテライトオフィス社)について紹介しました。

■KDDI 展示ブース

図2

KDDIブースでは、Google Apps や先日発表されましたCmosy(クモシィ)を案内しました。また、「Rising Star Award」受賞記念として、Google グッズがあたる抽選会も行い、ブースは大盛況。沢山の声をいただきました!

■セミナー開催します!

導入ユーザも増えてきた Drive for Work とその Drive for Work を最大限に活用した動画制作支援システム Cmosy(クモシィ)について詳しくご案内します。動画など大容量ファイルの効率的な取り扱いとセキュリティ対策を両立する最新のクラウド活用手法について、メディア業界などの具体事例を含めご紹介します。こちらより、お申込みください。

KCPSで実現するバックアップソリューション

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はじめまして。KDDI Cloud Platform Service(以下KCPS)の開発をしております村崎です。既に本blog内で今回の新機能であるサイトバックアップ機能についてご紹介しておりますが、その魅力について開発者の視点から深堀をしたいと思います。

サイトバックアップ機能について

2012年にサービス開始したKCPS (Ver1.0)においても、メインサイトの万が一の被災時に備えスナップショットを別サイトのストレージに格納される構成となっておりましたが、別サイトのバックアップデータはお客さまが任意に使用できる状態にはありませんでした。KCPS (Ver2.0)ではこの部分の改善も踏まえ以下3つのポイントを考慮した設計としています。

1.管理サーバとサイトの疎結合性
ディザスタリカバリを想定した場合、メインサイトが完全機能停止する可能性は十分に考えられます。(東日本大震災時の各通信キャリアの状況鑑みても、伝送路寸断することが随所に見られており1サイトの外部通信が機能しなくなることが現実に考えられます)KCPSではApacheCloudStackをベースにしたCitrix社の CloudPlatformを用いて仮想インスタンス操作、管理を行っておりますが、KCPS(Ver2.0)におけるサイト分散の設計として、管理サーバと各サイトを疎結合とするために、CloudPlatform構成コンポーネントである’Zone’単位ではなく、各サイトにCloudPlatformを構築しています。

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尚、ApacheCloudStackにおいては’Region’とよばれる各Zoneリソースをグルーピングした個別マネージメントサーバで管理する機能もApacheCloudStack4.1より提供されておりますが、テンプレートの’Region’間コピーの実装が難しいことから、サイト間のバックアップ機能としては今回の構成が最適と考えております。詳細の実装方式は後程ご説明いたしますが、この構成によりメインサイトが被災時に機能停止した場合においても、対向サイト側のCloudPlatformにて問題無くリカバリ操作が可能となりますし、対向サイト側で管理サーバを立ち上げしなおす必要もありませんのでRTOの短縮を実現しております。さらに平常時においても、お客さまが任意にバックアップ及びリカバリ操作を実施いただけますので予めリカバリの検証が可能となっています。またKCPS (Ver1.0)における’Zone’間における別サイトへのテンプレートコピー機能が、KCPS (Ver2.o)では実装されていませんでしたが、サイトバックアップ機能を用いて同等のコピー操作を行うことが可能となった点が東西サイトをご利用のお客様にとっては改善点の1つとなっています。

2.リカバリリソースの選択自由
ディザスタリカバリを想定されるユーザー様においても、コストを重視したいといった場合もあればRTO重視ですぐに復旧したいといったケースもあるかと思います。KCPSのサイトバックアップであれば、前者のユースケースの場合、被災時のみ対向サイト側で仮想サーバ作成を行う(テンプレートやボリュームから数分~数十分程度で仮想インスタンスのクローンを作成することが可能)ことで、2倍の仮想サーバコストを支払う必要はありません(テンプレートやボリューム容量のコストのみ発生)。また後者のRTO重視されるケースにおいては、平常時より定期的に仮想サーバを作成しておくことで、被災時に構築手間を気にすることなく仮想インスタンスのリカバリを行うことができます。(今後、公開予定の仮想インスタンス作成APIと組み合わせれば仮想サーバ作成までを自動化することも可能となります)KCPSサイトバックアップではこのように自由な選択ができる点も魅力の1つです。

3.エージェントやアプライアンス製品の導入不要
サイト間のリカバリを行う為に3rdベンダー製品を用いたソリューションは幾つも存在します。KCPSの(Ver1.0)においては、サイト間リカバリを行う場合にそのようなソリューションを個別に検討し、導入されたお客さまも多くいらっしゃいました。KCPS (Ver2.0)で提供しているサイトバックアップではKCPSで提供している基盤機能を使用するだけで、サイト間のバックアップ機能を利用することができ、これまで発生していたお客さま仮想サーバへのエージェントインストールや、仮想アプライアンスの導入など、余分な手間やコストは発生しません。では次にこれらを既存の基盤でどのように実現しているか、ご説明したいと思います。

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A.移行元サイトにてスナップショットを取得
これまでも提供しているスナップショット機能をそのままご利用いただくだけでサイトバックアップの準備が完了します。定期スナップショットを選択することで、対向サイト側には常に最新の状態1世代のバックアップを作成することが可能となります。

B.サイト間スナップショット(実体ファイル)のコピー
CloudPlatformのセカンダリストレージに取得されたスナップショット実体(ovaファイル)をストレージのレプリケーション機能にてサイト間コピー実施します。こちらはユーザー様が意識することなく全てのスナップショットに対して自動でコピーが行われます。スナップショット取得処理と併行してブロックレベルでレプリケーションされるのでより最新状態のバックアップを取得できるためRPOに貢献します。

C.アカウント情報のコピー
先にご説明した通り東西で別々の管理サーバで管理しているため、ご契約者の契約者情報(東西で同じ契約者番号にて契約されていることがご利用の条件となります)とvolume情報、スナップショット情報をについて対向先側で管理する必要があり、こちらはデータベースのレプリケーション機能を使ってリアルタイムで同期しています。

D.サイトバックアップの設定
対向サイト側でポータルタブの左メニュー内’サイトバックアップ’より該当のスナップショット一覧を表示した際、Bのレプリケーション処理中は右端にReplicatingが表示され、完了時にサイトバックアップアイコン表示に切替わります。この状態であればいつでもマニュアルリカバリ可能となります。オートサイトバックアップ設定をした場合は、10分間隔のバッジ処理によりReplicating表示が終了した(対向先にコピーが完了した)スナップショットから自動でEに記載のリカバリ処理を実施します。

E.リカバリ処理
対向先サイトでのリカバリ処理実行するためには、対向先のCloudPlatformのセカンダリストレージ上に取得したスナップショット実体を配置する必要があります。そのためにはCloudPlatformのnative機能にて外部からovaファイルをアップロードする方法等が考えられますが、KCPSにおいてはセカンダリストレージ内部のクローン機能を使用し迅速なコピーを行うため、次のようにCloudPlatformのAPIをコールし、リカバリを実現しています。

具体的には、
(1).対向先サイトでダミーの仮想サーバ作成API発行
(2).ダミー仮想サーバのスナップショット作成API発行(空のスナップショット)
(3).作成されたスナップショットに対しセカンダリストレージ内部クローンにて移行元から取得されているスナップショット実体を配置(これにより同等のスナップショットが対向先でも取得されている状態を作りだす)
(4).CloudPlatform機能のスナップショットからのテンプレート作成またはボリューム作成APIをコール、作成された時点でリカバリ処理の完了となります。
このようにサイトバックアップではKCPS基盤インフラで使用されているストレージ機能やCloudPlatformのAPIコールを効果的に組み合わせることで、前述の設計考慮ポイントでご説明した3つのメリットを実現しています。尚、スナップショットはオンライン取得も可能ではありますが、完全にデータ整合性を確保したい場合は静止点を取りバックアップを取得することをお勧めします。以下にサイトバックアップを利用した、DBサーバの可用性向上デザインの一例をご紹介します。

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・ROOTボリュームはデータ整合性確保のためVM停止にてスナップショット取得
※システム領域のみマウントすることでOSのupdateタイミング等スナップショット取得

=VM停止回数を最小化

・DATAボリュームはDB領域を1次領域へマウントし、データ整合性確保のため別ボリュームに同期または定期バックアップ((MySQL等のレプリケーションやDBdump想定)した2次領域を作成した上でスナップショット取得

■KCPS API公開との連携

さて、ここまでサイトバックアップ機能についてご説明してきましたが、今般KCPS仮想サーバへの各種制御についてユーザー向けAPIを一部公開しました。これらのAPIを効果的に使用することでバックアップ等の用途においても便利に使うことができオペレーションの幅を広げることができます。APIをご利用するにあたり、シンプルで使いやすいkick_api.shというbashスクリプトをご紹介します。(本スクリプトはクリエーションライン社より公開されております)まずはご利用の準備としてKCPS Ver2において次の操作によりエンドポイントURL、APIキー、秘密キーを取得します。

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インスタンス管理タブ
→左側メニューよりアカウント選択
→ドメイン選択
→’表示ーユーザー’リンク選択
→ユーザー選択
※初期値は空白となっていますので左上の’キーの生成’により作成してください

次に取得した情報をスクリプト内(XXX…XXX部分)に設定します。

エンドポイントURL
 address="https://XXX...XXX:10443"

 APIキー
 api_key='XXX...XXX'

 秘密キー
 secret_key='XXX...XXX'

shの書式は、以下の通りコマンド名とパラメータ名を入力するだけで実行可能です。
./kick_api.sh command=APIメソッド パラメータ名1=値 パラメータ名2= 値
KCPS Ver2にて公開しましたAPIはCloudPlatfromに準拠したREST-APIとなっており、各メソッド、パラメータはAPI Reference(←Lnk:https://cloudstack.apache.org/api/apidocs-4.3/TOC_Domain_Admin.html)を参照下さい
※CitrixCloudPlatformはApacheCloudStackのAPI Referenceに準じています。
※Required欄に記載されているパラメータは必須パラメータとなり省略不可となります。
kick_api.shのsourceは以下の通り。

#!/bin/bash
#
# please set your host
address="XXX...XXX"
# please set your api key
api_key='XXX...XXX'
# please set your secret key
secret_key='XXX...XXX'

api_path="/client/api?"

if [ $# -lt 1 ]; then
 echo "usage: $0 command=... paramter=... parameter=..."; exit;
elif [[ $1 != "command="* ]]; then
 echo "usage: $0 command=... paramter=... parameter=..."; exit;
elif [ $1 == "command=" ]; then
 echo "usage: $0 command=... paramter=... parameter=..."; exit;
fi

# echo " asako 1 $@"
data_array=("$@" "apikey=${api_key}")
# echo " asako 2 ${data_array[@]}"

temp1=$(echo -n ${data_array[@]} | \ 
 tr " " "\n" | \
 sort -fd -t'=' | \
 perl -pe's/([^-_.~A-Za-z0-9=\s])/sprintf("%%%02X", ord($1))/seg'| \
 tr "A-Z" "a-z" | \
 tr "\n" "&" )

# echo " asako 3 sorted ${temp1[@]}"
signature=$(echo -n ${temp1[@]})
signature=${signature%&}

# echo " asako 4 $signature"

signature=$(echo -n $signature | \
  openssl sha1 -binary -hmac $secret_key | \
  openssl base64 )

# echo " asako 5 signature=$signature"
signature=$(echo -n $signature | \
  perl -pe's/([^-_.~A-Za-z0-9])/sprintf("%%%02X", ord($1))/seg')
# echo " asako 6 urlencoded signature=$signature"

url=${address}${api_path}$(echo -n $@ | tr " " "&")"&"apikey=$api_key"&"signature=$signature
echo " SEND URL: $url"

curl -k ${url} | xmllint --format -
#curl ${url}

ユースケース1:自サイトにおけるテンプレート自動作成
サイトバック機能にて対向サイトにはテンプレートを定期自動作成することができますが、自サイト内では手動でスナップショットから作成するのみとなります。対象ボリュームの実容量によっては数時間以上を要することもあるため、RTOを短縮したい場合にAdminConsoleによる定期スナップショット設定し、APIコールをスクリプト化し自動実行させることが可能です。

step1 ’listSnapshots’メソッドにて当該アカウントのスナップショット一覧取得
step2 ’volumeid’及び’created’パラメータにて対象の最新スナップショットを特定
step3 step2にて特定したスナップショットの’id’を引数に’createTemplate’メソッドにてテンプレート作成

ユースケース2:スナップショット処理進捗の確認
スナップショットについては対象ボリュームの実容量によっては数時間~それ以上の処理時間を要することがあります。データ整合性確保のためVM停止等を行った際に停止時間を最小限に留めるため処理進捗を確認したい場合に、非同期job確認のAPIコールを定期的に実行しレスポンスをチェックすることが可能です。

step1 ’listVolumes’メソッドにて当該アカウントのボリューム一覧取得
step2 ’createSnapshot’メソッドにて’volumeid’パラメータで指定したボリュームのスナップショット取得、レスポンスにて’jobid’を特定
step3 step2にて特定した’jobid’を引数に’queryAsyncJobResult’ メソッドのレスポンスにて’jobstatus’値により以下状況確認

0:ジョブが処理中であることを示します。これ以降のジョブの進捗について、定期的にチェックしてください。
1:ジョブが正しく完了しました。実行したコマンドに応じて、適切な成功応答値が返されます。
2:ジョブの完了に失敗しました。タグで失敗原因のコードを、タグで失敗原因をチェックできます。

本メソッドは先に記載のApacheCloudStack API Referenceのメソッド一覧にてメソッド名の後ろに(A)が記載されている全ての非同期jobに対して有効となります。上記はAPI利用のほんの一例ではありますが、その他にも’rebootVirtualMachine’メソッドにて、定期的な仮想インスタンスの再起動を自動実行させたり、’listEvents’メソッドで仮想インスタンスへの操作ログに対し’level’パラメータにてERRORログのみを指定して出力させるなど、いろいろと便利に使うことができます。

■最後に

ここまでKCPSにてリリースいたしました可用性向上に寄与できる新機能について記載させていただきました。今回公開したAPIの機能は限定的ではありますが、今後は、「プレミアム契約によるDedicatedホスト」や「エクストラアベイラビリティ」等も含めて、AdminConsole上で提供される機能APIは順次公開していくことを検討しており可用性向上だけでなく様々なDevOps用途にご利用いただける予定ですのでご期待ください。

KCPS 2015Q2の稼働率について

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KDDIクラウドプラットフォームサービス(以下、KCPS)開発リーダーの前原です。
KCPSの2015Q2稼働率(※)は99.9999%でした。

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(※)稼働率=月間VM稼働時間累計/(月間VM稼働時間累計+月間VM故障時間累計)ただしメンテナンス時間を除く

3ヶ月間の故障部位内訳は、サーバ・ホスト故障 60%、ストレージ故障 20%、仮想ネットワーク故障 20%でした。

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KCPSの保全活動について

「保全」とは言っても様々な活動を行っており、それらが全て揃ってシステムを安全・安定した状態を維持することができます。そこには長く通信事業で培ってきたKDDIならではのノウハウが詰まっています。

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1点目に「事後保全」ですが、故障した部品を交換する保全活動となります。ここでは如何に早く作業を行えるかがポイントとなります。KCPSでは故障頻度の多い部品は全てデータセンター内に保管しているため、部品の輸送時間を待つことなく交換作業を行うことができます。また機器のラック搭載でも一工夫しており、一見ムダに見えるサーバ間のスペースはメンテナンス時のし易さに一役買っており、急な故障におても迅速・正確な作業を行うことができています。

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2点目は「予防保全」です。通常機器の部品には耐用年数に基づいて故障等がなくても、使用時間が一定時間経過したら該当部品の交換を、定期保全・定時保全として行っています。ただし耐用年数前に故障するケースをゼロにすることはできないため、KDDIでは機器や部品の状態を監視して、故障の兆候がでたら交換を行う予知保全に力を注いでいます。たとえばストレージに関してはサービス上影響が発生してなくても、Disk単体でも書き込み・読み込み要求に対するリトライ発生数と頻度をモニターしており、基準に達した場合には交換対応を行っています。

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KCPSでは予知保全のような高度な保全を行い、更なる品質向上とお客さまに満足していただける ”Quality Cloud” をご提供いたします。

KCPS上でSQL Server の冗長化を実現 – MSSQL AlwaysOn機能

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クラウドサービス開発部 松本です。Microsoft社のサーバ関連製品を担当しています。KCPSでは、システムの構築にあたりMicrosoft SQLサーバを手軽にご利用頂けるよう、ライセンスを月額提供するスキームを用意しています。MS SQLサーバはもちろん単体でのご利用も可能ですが、「AlwaysOn※」と呼ばれる高可用性を実現する機能を備えています。今回は「AlwaysOn」について、その機能及びKCPS上での構築例についてご紹介します。なお、以下に説明する構築例の作成は、Microsoft社エンジニアの協力の元、実施したものになります。
※「AlwaysOn」には厳密には「AlwaysOn可用性グループ(AG)」と「フェールオーバークラスターインスタンス(FCI)」という2つの技術が含まれますが、本稿では前者について解説しています。

1.AlwaysOnの機能

AlwaysOnの詳細については、Microsoft社の説明サイトをご参照頂きたいと思いますが、例えば以下のようなメリットが挙げられます。

1.複数SQLサーバでの冗長構成(Secondary最大4台)が可能
2.ReadOnlyアクセスの処理やバックアップをSecondaryで実施することによる負荷分散が可能
3.同期/非同期の複製モードが用意されており、構成に応じた設定が可能

図1
<図1> AlwaysOn のイメージ

今回は、KCPS 東日本リージョンにSQL01(Primary), SQL02(Secondary) を、西日本リージョンにSQL03(Secondary)の、計3台のSQLサーバを構築します。構築後、以下のケースの動作を確認します。

(1) 手動系切替
・手動でPrimary/Secondaryを切り替える手順(サーバメンテナンス時、片系ずつサーバ停止する必要がある場合を想定)の確認

(2) 障害時動作
・SQL01(Primary)障害時、同一リージョン内のSQL02(Secondary)でサービス継続できることの確認(サーバ単体障害時の対策)
・SQL01,SQL02の両方が障害時に、別リージョンのSQL03(Secondary)でサービス継続できることの確認(BCP/DR対策を想定)

図2-1 図2-2 図2-3 図2-4
<図2> 今回の検証のイメージ

2.前提条件

SQL Server AlwaysOn環境の構築には以下が必要となります。
・OS: Windows Server 2008以降
ただしWindows Server 2008の場合、OSはEnterprise Edition以上が必要(Standard不可)。Windows Server 2012以降の場合、OSはStandard Editionの使用が可能。
・MSSQL: MSSQL2012以降、Enterprise Edition (Standard不可)
・全てのSQLサーバが同一ドメインに参加していること
・全てのSQLサーバが同一フェールオーバークラスタに所属していること
・SQLサーバ以外のサーバでファイル共有クォーラムを持つこと
今回の構築例では、OSはWindows Server 2012R2、MSSQLはSQL2014を使用しています。ファイル共有クォーラムはAD/Clientサーバ上に配置しています。

3.基本設計

今回の構築例の設計は以下の通りです。
・SQL01がPrimary、SQL02を同期モードのSecondary、SQL03を非同期モードのSecondaryとする。
・東リージョンにADサーバを構築し、SQL01,SQL02,SQL03 を同一ドメイン(alwayson.local)に参加させる。
・ADサーバがSQLクライアントとなり、SQLアクセス(insert)を実施する。

図3
<図3>今回の環境

・今回は構成例ですのでADサーバが1台しかありませんが、実際には、ADサーバはお客様オンプレ環境にあるケース、KCPS上に東西で2台構築し冗長を取るケース等が考えられます。また、WEBサーバ等のアプリケーションサーバがSQLサーバのクライアントになるかと思います。
・各サーバに割り当てる実IPの他、セグメント毎にWindowsフェールオーバークラスタ用のVIP(図中のcluster)及び、クライアントからのSQLアクセスを受け付けるVIP(図中のlistener)が必要になります。
・同期モードと非同期モードの違いは、同期モードではSecondaryにデータ更新内容を同期し、Secondaryから応答を受け取ってからトランザクション完了となります。一方、非同期モードではSecondaryの応答は待ちません。そのため、Primaryの障害発生時、同期モードであれば直前までの同期が保証されますが、非同期モードの場合はずれが発生する可能性があります。一方、同期モードのデメリットとして、応答を待つ分処理速度の低下が発生し、また、Secondaryに障害発生した場合、Secondaryの障害を検知し切り離すまでの間、処理遅延が発生することになります。

4.導入手順

(1) 基本設定
・必要なインスタンス(今回は4台)をポータルから作成します。OSはWindows Server 2012R2です。
・ADサーバを構築し、SQL01/02/03をドメイン参加させます。
(2) SQL Server 2014 のインストール
・SQL01/02/03にSQL Server 2014をインストールします。
・ADサーバはSQLクライアントとするため、SQL Serverの管理ツールのみをインストールします。
(3) フェールオーバークラスタの作成
・SQL01~03でフェールオーバークラスタを構成します。

図4<図4>フェールオーバークラスタの構成画面

(4) AlwaysOnの構成
・SQL01(Primary)で、複製対象となるデータベースを作成します。今回はtestdbとしています。
・AlwaysOn 可用性グループを作成し、SQL02,03をSecondaryレプリカとして追加します。
・SQLクライアントからのアクセス先IPとして、listener(VIP)を設定します。
・今回の環境の場合、KCPS東側内部でのIP割当ては、SQL01 172.25.1.111, SQL02 .112, listener .116 としていますが、クライアントは接続先をlistenerのIPにしておけば、系切り替わり時に設定を変更する必要なくアクセスを継続できます。(DNSを参照し名前でのアクセスも可能です。)

図5<図5>AlwaysOnの構成画面

(5) テストアクセス
・今回の構成例では、ADサーバ上にSQL文を連続実行するスクリプトを用意し、listenerのIP(VIP)を指定して接続し、DBへの書き込み(insert文の実行)を行います。
・繰り返し実行するSQL文の内容は以下の通りです。

Use TestDB
GO
Insert into [dbo].[InsertTable] (ServerName, InsertTime) values ((select @@servername), CURRENT_TIMESTAMP) 
GO

・テーブル InsertTable に対し、1回SQLを実行する毎に、ServerName(SQL01/02/03のどのサーバが処理しているのか)と、InsertTime(insertが実行された時刻) を記録します。
・通常時は全てSQL01にて処理が行われます。

5. 切替動作確認

(1) 手動系切替
・手動でSQLサーバのPrimary/Secondaryを切り替える手順の確認を行います。(サーバメンテナンス時、片系ずつサーバ停止を行う必要がある場合等での実施を想定)
・SQL01(Primary)とSQL02(Secondary)の役割の切替を、SQL Server Management Studioの管理画面から実施します。
・1秒間隔でinsertを実行するSQL文を回しながら切替を行い、影響時間を測定します。
・今回の環境で手動系切替を実施したところ、約11秒で切替が完了しました。
・結果は下図の通りで、SQL01の処理がSQL02に移動していることが分かります。15:13:30に手動切替のオペレーションを実行し、切替完了後の15:13:41から処理が再開されています。
・クライアントはlistenerのIP(VIP)にアクセスしているので、切替時のクライアント側での対応は必要ありません。なお、系切り戻しも同様の手順で実施可能です。

図6
<図6>手動系切替時のアクセス先

(2) 障害時動作(サーバ単体障害)
・SQL01(Primary)障害時、同一リージョン内のSQL02(Secondary)でサービス継続できることの確認(サーバ単体障害時の対策)を行います。
・検証手順として、SQL01(Primary)のOSを、NotMyFaultというMicrosoft社のツールで強制終了させます。(shutdownによる正常終了ではなく、障害による停止(BSOD)相当の落とし方にするためです。)

図7<図7>NotMyFault画面

・1秒間隔でinsertを実行するSQL文を回しながらSQL01を強制終了し、影響時間を測定します。
・今回の環境で切替を実施したところ、約23秒で切替が完了しました。
・結果は下図の通りで、SQL01の処理がSQL02に移動していることが分かります。15:38:30にSQL01を強制停止後、切替完了後の15:38:53から処理が再開されています。
・なお、SQL01が復旧した場合、自動的にSecondaryとして組み込まれ、データ同期が終われば系切り戻しが可能になります。

図8
<図8>SQL01障害における自動切替時のアクセス先

図9
<図9>SQL01障害時のダッシュボード

(3) 障害時動作(東日本全体の障害)
・SQL01,SQL02の両方が障害となった場合、別リージョンのSQL03(Secondary)でサービス継続できることの確認(BCP/DR対策を想定)を行います。
・SQL03はsecondaryですが、異拠点のため、非同期モードかつ自動フェールオーバなしに設定しています。(これは、BCP/DR用途として標準的な設定となります。)非同期モードにしているのは、伝送遅延によるトランザクションへの影響がないようにするためであり、自動フェールオーバなしにしているのは、ネットワーク障害による予期せぬ切り替わりが発生しないようにするためです。
・このパターンの障害の場合、SQL01/02と、SQL03のネットワークセグメントが異なり、listenerのipも異なるため、SQLサーバの管理者によるSQL03への手動切替、また、SQLクライアント側でのアクセス先の変更作業が必要となります。
・SQL01(Primary), SQL02(拠点内Secondary)のOSを、NotMyFaultというMicrosoft社のツールで同時に強制終了させます。
・1秒間隔でinsertを実行するSQL文を回しながらSQL01/SQL02を強制終了し、切替を行います。本ケースの場合、手動切替が必要となり、切替時間の測定にはあまり意味がないため、手動切替の手順概要を説明します。

手順1: SQL01/SQL02 の停止
・SQL01/SQL02をNotMyFaultを使用して強制停止させます。
・結果として、Windows フェールオーバークラスタの過半数のノードが停止するため、クラスタが維持できなくなります。

手順2: SQL03でのクラスタの強制開始と、SQLサーバの強制フェールオーバー
・SQL03 1台でクラスタを強制再開します(詳細手順は割愛します)。クラスタを強制再開後、SQL03をPrimaryに手動切替します。切替後、listener(VIP)がKCPS(東)内のIP(172.25.1.116)から、KCPS(西)のIP(172.26.1.116)へ変更され、KCPS(西)のIPを指定してSQL03へアクセスすることが可能になります。

手順3: クライアント側でのIP変更とSQL03へのアクセス
・クライアント側で設定しているlistenerのIPアドレスをKCPS(東)内のIP(172.25.1.116)から、KCPS(西)のIP(172.26.1.116)へ変更し、アクセスを再開させます。

図10
<図10>SQL01/02障害における手動切替時のアクセス先

図11<図11>SQL01/SQL02障害時、SQL03へ手動切替後のダッシュボード

6.おわりに

SQL AlwaysOn についてご紹介しましたが、機能や基本動作について、ご理解頂く手助けとなれば幸いです。KCPSでは、MS SQLサーバのライセンスを月額提供しており、仮想サーバ、ネットワーク、ストレージとあわせてのワンストップでのご提供が可能です。KCPS上での高可用性システムの構築において、SQL AlwaysOnは非常に有効的なツールとなりますので、ぜひ導入ご検討頂ければと思います。

IoTの究極の形『WoT』にKDDIが取り組む理由

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KDDI技術戦略部の高木幸一です、私は、KDDIの技術戦略上、Web技術が非常に重要な位置を占める中で、社内外へのWeb技術浸透、およびW3C標準化作業等を行っています。さて、突然ですが、KDDIが2014年末に出した新種のスマートフォン端末をご存知でしょうか?そうです、「Fx0」です。Android OSでもiOSでもない第3のOSの端末として登場し、多くのニュースでも取り上げられていたのでご記憶の方も多いのではないかと思います。一方で、この端末の発売に関するKDDIのプレスリリースであるキーワードが掲載されていました。それが

「WoT (Web of Things)」

です。聞きなれない方も多いかもしれません。実はこの「WoT」は「IoT(Internet of Things = モノのインターネット)」の究極の姿であり、我々が目指す姿でもあります。「IoT」がこれだけバズワードになっている中で、なぜKDDIは「WoT」に取り組むのか?本ブログではこの内容についてお話ししたいと思います。

WoTとIoTの関係

図1

さて、「WoT」に取り組む理由をお話しする前に、「WoT」とは何なのか?そして「WoT」は「IoT」とどのような関係にあるのか整理しておきましょう。 「IoT」の定義については諸説あるかと思いますが、「モノがインターネットにつながり、モノと人(モノとモノ)が連携することで(これまでにない)新たな価値を創造するもの」です 。ここで、重要となるのが「インターネットにつながり」という部分です。「IoT」ではOSI参照モデルでいえば、ネットワーク層やトランスポート層について、モノがどのようにつながればよいのかを規定します。この層までは水平分散型の標準化(3GPP, IETF, …)が進められています。その上で、アプリケーション層について、特定のベンダに特化した枠組み(アライアンス、コンソーシアム)がいくつもできています。すなわち、その枠組みに加入し、その枠組みの方法に従うことにより、その枠組み内にあるさまざまな機器と連携することが可能なのです。一方で、「WoT」は、まさにアプリケーション層を規定したものになります。アプリケーション層より下の層の動作は「IoT」で定められる別の取決めに任せた上で、アプリケーション層としてWeb Runtime(ここにWeb APIが含まれる)を使いなさいということです。結果として、モノと人(モノとモノ)がWeb APIをベースとしたWeb アプリケーションを介してつながることになります。ここで重要なのは、「WoT」はWeb技術を検討しているコンソーシアムであるW3C(World Wide Web Consortium)による取組であるという点です。W3Cは特定のベンダに特化した組織ではありません。そして、最近多くの機器がWebブラウザ、Web Runtimeを搭載しつつあります。以上を整理すると、冒頭の図のようになります。左図が、「IoT」に対し特定のベンダにより構成される枠組み、右図が「WoT」による枠組みです。WoTはかなり広範なモノを対象にしていることがお分かりいただけると思います。

KDDIがWoTに取り組む理由

それでは本題に入ります。なぜ我々がWoTに取り組んでいるのか?理由は大きく3つあります。

1.開発が簡単になること
通常、IoT機器(たいていの場合組み込み機器)に対してそれとつながるアプリケーションを組もうとすると、C言語などのソフトウェアの知識に加え、組込み系の知識が必要になります。一方で、WoTではHTMLやJavaScriptなどのWeb系の言語で開発ができるようになります。Web系プログラマの人数は組み込み機器系プログラマの人数と比較すると数百倍以上はいると言われています。従って、アプリケーションの開発をより円滑に進められることが期待できます。

2.あらゆるケースで使えること

2

KDDIはモバイルから固定(FTTH)、ケーブルなどさまざまな通信環境を提供する総合通信企業です。多種多様な通信環境を対象にしているのと同時に、デバイスも多種多様なものを対象としております。そのような背景の下、どのような環境でもあらゆるサービスをシームレスに提供できることが求められます。そこで、「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバイス」の3つの頭文字からなる「3M戦略」を推進しています。では、今の世の中において、さまざまなユースケース、ネットワーク、デバイスに対し共通に利用できる枠組みは何でしょうか? おそらく、その1つとしてWoTがあげられるのではないでしょうか?前述のW3Cにおいても、そのミッションを「Web for all」「Web on Everything」と提唱しているとおりです。従って、KDDIがWebを積極的に実践するのは、その戦略を円滑に推進する上でストレートフォワードな方策です。

3.オープンな技術であること

W3Cで標準化される技術は基本的にオープンであるため、その1つである「WoT」もオープンな技術になります。ではなぜオープンであることが求められるのか?それは、様々な課題に対応できる必要があるためと考えます。先ほども申しあげたとおり、WoTでは非常に広範なデバイスを扱います。よって、非常に強靭な技術であることが求められます。オープンな技術は、あらゆる開発者の目にさらされることにより、多くの課題を乗り越え強靭になっています。事実、IoTについても、その中核となる技術のほとんどはすべてオープンな技術です。Linux、Apache、Hadoop、・・・挙げればきりがありません。極論すると、技術としてはオープンであることが長期的に生き残るための術であるといっても過言ではないと思います。

以上、3点掲げました。もう一度言うと、「開発が簡単で、どんなことにも使えて、さらにオープン(自由に使える)」ということで夢物語のようですが、現実はそんな簡単ではありません。実は、W3Cの中でも検討が始まったばかりで、既存のWebブラウザ、Web Runtime上では、そのためのAPIがほとんど使えるようになっていません。そこで、具体的なAPIの検討、および課題抽出を進めるべく、我々はMozillaを中心に「MozOpenHardware」というプロジェクトを立ち上げ、活動を開始しています(後述)。

WoTに対する私の取り組み

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展示@HTML5 Conference (Jan. 2015)

html5jへの参画

WoTを実現するにあたり、HTML5はベースとなる技術であるため、国内最大のHTML5開発者コミュニティであるhtml5jに参画し、WoTに関するアクティビティ立ち上げに向け奔走しています。具体的には、2014年7月に同コミュニティが主催した開発イベントhtml5 Japan CupではKDDI賞として「スマートフォンの次を狙え!生活を快適にするデバイス×Webアプリ」を設置しました。この中で、多くの応募をいただくために、デバイスとWebが連携したら何ができるのかというお題でハッカソンを開催しました。私はそのファシリテータとして、マンダラート等を用いて参加者の皆さんが気になっているものからそれと関連するものを書いていただき、そこに出てきた複数のものをつなげることで新しいアプリケーションを生み出すという方策をとりました。このようなハッカソンが功を奏し、30以上のアプリを集めることに成功しました。また、同コミュニティが年に一回開催するカンファレンスでは展示を担当しました。KDDIのWeb広報責任者として、W3C標準化活動や各種コミュニティ活動に参加していたこともあり、その伝手で、私からのお誘いに共感いただき、15の個人・団体の方に出展いただくことができました。

Mozilla Factoryへの参画

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ぶっ飛びケータイの展示@Mozilla Festival (Sep. 2013)

また、Mozilla Japanが進めるMozilla Factoryという取組みに協賛し参加しております。これは、中高生を中心に「“オープン”に考える、作る、伝える」を軸にしたモノづくりを進めていくための場所や環境を提供する取組で2012年にスタートしたものです。そのなかで「ぶっ飛びケータイ」というプロジェクトに参加しています。名前の通り、現在ないぶっ飛んだケータイを検討し開発するプロジェクトです。例えば、「XXな人」「XXという特徴を持つ」を複数用意し、これらを組み合わせることにより新たなケータイ像を生み出そうというアイディアソンをやりました。例えば、「子供が欲しがるいい匂いのするケータイ」「バナナ型ケータイ」など、様々なアイディアを抽出しました。実はこの取り組みの中で、ArduinoやRaspberry PiにFirefoxOSをインストールし新たなケータイとなるものは何か考えてみようという話になりました。ところが、実際にFirefoxOSをインストールした上で触れば触るほど、スペックが足りないとかI/Oが不足しているなど、多くの課題があることに気づかされました。そこで、このような課題を解決するために、自分たちで組込機器用基板をオープンに開発していこうという流れになったのです。これが、前述した「MozOpenHardware」というプロジェクトになります。
この詳細について語ると長くなってしまうので、次回とさせていただきます。ご興味のある方は是非とも覗いてみてください。


オープンソースプロジェクトMozOpenHardに参加して:FirefoxOSが動く小型ボードコンピュータ「CHIRIMEN」の開発

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はじめまして。KDDI研究所でWeb関連の技術調査・開発に従事している関口です。私は今、Webという切り口でスマートフォンやその周辺環境の未来を模索し、MozOpenHardというオープンソースプロジェクトに参加しています。

MozOpenHardプロジェクトとは?

MozOpenHardプロジェクトとは、Mozilla Japanによって発足されたMozilla Factoryという活動の中から登場したプロジェクトです。このプロジェクトでは、近年IoT/WoTといった言葉で注目を集めているように、様々なモノがネットワークで繋がっていく未来の社会において、「Webのあるべき姿」を考え、作り上げていくことを目的としています。

プロジェクトの詳しい説明に入る前に、IoT/WoTについて触れておきましょう。IoT(Internet of Things)とは、モノのインターネットと言われるとおり、モノ同士がインターネットを通じて相互に情報をやり取りすることを可能にする技術の総称です。WoT(Web of Things)とはIoTに更にアプリケーションの機能を付加し、モノ同士を連携して制御するための仕組みやそれによって実現できるサービスを指して使われています。WoTの浸透した世界では、PCやタブレット、スマートフォンといったいわゆるスマートデバイスの中だけでなく、エアコン、照明、車や各種センサなど身の回りに分散しているあらゆるモノを連携させ、より私達が暮らしている実世界に近いところでサービスが形作られていくことでしょう。そんなWoTの世界の実現のため、様々なデバイスをWeb技術で制御できるようにする仕組みについて盛んに議論が行われています。その中で提案されている案の一つが、家電などの組み込み機器とスマートデバイスの間にゲートウェイとなるサーバーを設けて、Webのインターフェースを形作ろうというものです。こうすることで、組み込み機器側はWebに解放するインターフェースを用意しておけばよく、スマートデバイス側も解放されたインターフェースを利用してアプリケーションを作ることができるので、現在注目を集めています。(図1左)

しかし、この方法では機器内部の制御にWebが踏み込むことはできません。確かに、スイッチのオンオフのような簡単な制御にWebブラウザが動作する環境はオーバースペックであるし、低消費電力が求められる環境などを考えるとそれは現実的な方法ではありますが、コンピュータの進歩の速さを考えると、組み込み機器で用いられるようなマイクロコンピュータに当然のようにフルブラウザが搭載される世界もそう遠くないとも思えます。プログラムの実行環境としてブラウザが使われ、あらゆるモノをWebという共通のインターフェース、共通のプログラムによって自由に制御することができる世界では、Webページのソースコードが自由に閲覧・利用できるのと同様に、自由にプログラムを改変して新しいモノを作り出していくことができるようになると考えられます。MozOpenHardではそんなWoTの姿を目指したいと考えています。(図1右)そういった意味ではMozOpenHardで目指すWoTは、Webのアプリケーションとしての側面よりむしろWebのオープン性という側面に着目していると言えるかもしれません。

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図1WoTの姿

そんなWoTの世界を実現するため、私たちは今、WoTデバイスの開発環境としてFirefoxOS搭載の小型ボードコンピュータ「CHIRIMEN」の開発を進めています。

WoTデバイス開発環境CHIRIMEN

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図2FirefoxOS搭載の小型ボードコンピュータ「CHIRIMEN」

上の写真(図2)は現在開発中のボードコンピュータ「CHIRIMEN」です。CHIRIMENという名前は2本の糸を織り込んで作る織物のように、「Web」という糸と「モノ」という糸を織り込んで新しいものを作っていきたい、そして日本発のプロジェクトであるという点からCHIRIMEN(縮緬)と名付けられています。その名の示す通り、様々なモノ、デバイスをすべてWebアプリケーション(HTML,Javascript,CSS)から制御することが可能になっています。

秋葉原などで売っているようなLEDやセンサなどの電子デバイスは通常GPIOやI2CといったLowレベルなインターフェースを通して送られる電気信号によって制御されます。CHIRIMENはこういったGPIO,I2Cといったデバイス制御のための端子を備えており、それらをWebアプリケーションから制御するためのAPIが用意されています。これらのAPIはWebGPIOAPI、WebI2CAPIという形でW3Cに提案していく予定であり、現在Browsers and Robotics Community Groupというグループを作って議論を行いながら仕様書の作成を進めています。Web標準の世界では、標準化よりも実装が先行する場合が常ですので、私たちもFirefoxOS上でこれらのAPIを実装してCHIRIMENに組み込んでいるというわけです。実際にCHIRIMENを使うとどのようにデバイスを制御できるのか、サンプルプログラムを元に紹介したいと思います。まずはこちらのプログラムをご覧ください。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
  <meta charset="UTF-8" />
  <script>
    window.addEventListener("load", function() {
      var btnEle = document.getElementById("btn");
      btnEle.onclick = function(){
        document.body.style.background = "#000000";
      };
    });
  </script>
  </head>
  <body>
    <button id="btn">Change DisplayColor</button>
  </body>
</html>

Webページを作ったことのある人ならすぐに理解できると思いますが、こちらはWebページ上のボタンを押したら背景色が変わるというシンプルなプログラムです。続いてこちらのプログラムをご覧ください。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
  <meta charset="UTF-8" />
  <script src="geckoGpio.js"></script>
  <script>
    window.addEventListener("load", function() {
      Promise.all([
        navigator.setGpioPort(198,"in"),
        navigator.setGpioPort(199,"out"),
      ]).then(ports => {    
        var btnPort=ports[0],ledPort=ports[1]; 
        btnPort.onchange = function(value){
          ledPort.write(1);
        };
      });
    });
  </script>
  </head>
  <body>
  </body>
</html>

こちらはCHIRIMEN上で物理ボタンデバイスを押したらLEDを点灯させるというプログラムです。ライブラリの読み込みやGPIOポートの初期化なども行っていますが、これらは決まり文句の部分で、重要なのは13~15行目の部分です。先ほどのWebページのプログラムとほぼ同様のコードで、物理ボタンの入力に設定したポートの値が変化したら(物理ボタンを押したら)LEDの出力に設定したポートに1を出力する(LEDを点灯する)、という機能を実現しています。

このようにCHIRIMEN上ではディスプレイ上のボタンや色などのバーチャル部品と物理的なボタンやLEDなどのフィジカル部品を同様に扱うことができます。まさに、Webページを書くようにデバイス制御プログラムを作ることができるようになります。結果として、WebデベロッパーやWebデザイナーといった、これまで組み込みの世界に入ってこれなかったような人たちでも気軽にデバイス開発に参加することができるようになり、これまでに無いような面白いデバイスやサービスが登場してくると期待しています。

オープンコミュニティでの活動を通して

冒頭で言ったように、MozOpenHardプロジェクトはオープンソースのプロジェクトです。私は主に「CHIRIMEN」へのFirefoxOSのポーティング作業やWebGPIO、WebI2Cの実装、各種展示会に向けたデモの開発といったソフトウェア開発の部分に関わっていますが、この他にも実に様々な方がプロジェクトに参加しています。大手メーカーのエンジニア、組み込みエンジニア、Web関連企業、大学教授、デザイナー、海外のスタートアップ、コミュニティ作りの専門家、中学、高校、大学生など、会社で仕事をしているだけでは触れ合えないような多種多様なバックグラウンドを持つ方々と意見交換をさせてもらっており、新鮮な刺激を受けることができています。また、コミュニティ活動を通して国内外の様々な展示会に参加したり、世界中の開発者と議論するといった貴重な経験をさせてもらっています。(図3)こういった新しいアイディアの獲得や経験の蓄積も、オープンコミュニティに参加することの大きなメリットの一つだと私は考えています。

図4
図3コミュニティ活動例。左はMaker Faire 台北での出展の様子(写真奥でCHIRIMENを持っているのが私です。)、右はMozilla Japanオフィスで行われたWoTワークウィーク。

今後の予定

直近の予定としては、8月1,2日に行われるMakerFaire東京に出展を行う予定です。こちらではCHIRIMENの実物やデモをご覧頂けます。また、CHIRIMENの量産にあたってはクラウドファンディングサービスKickstarterに出品する計画もあるのでご注目下さい。プロジェクトの詳細やイベントの案内はMozOpenHardのWebページfacebookのコミュニティページ等でアナウンスしていきますので是非ウォッチしてみてください。もちろんコミュニティへの参加も大歓迎です。

クラウドとつながるIoT/WoTデバイスのためのプラットフォーム

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KDDI研究所の清水です。メディア処理やアプリケーション等に関する技術等に携わっています。さて、当ブログでは先に「IoTの究極の形『WoT』にKDDIが取り組む理由」で我々のWoT (Web of Things)に対する考え方と取り組みをご紹介していますが、本記事では、Webテクノロジーやクラウドとの連携などの技術的な側面にフォーカスして深く掘り下げてみます。

クラウド連携で扱いやすくなるIoT/WoT

自宅やオフィスで、インターネットに繋がって通信できるIoT (Internet of Things)やWoT (Web of Things)のデバイスが使えるようになると、ユーザにとっては、「どこからでも操作できるようになる」等の効果が期待されます。例えば、「帰る前にスマートフォンから自宅のエアコンを操作して着く頃には適温になるようにする」「ベランダに取り付けたカメラの映像を見てプランターの土が乾いていたらリモート操作で水をやる」など、様々な使い道が考えられます。

デバイスの操作や設定の方法として、例えばブロードバンドルータ等では、同一LAN内のWebブラウザからアクセスして設定するような手順が一般的になっています。この場合、デバイスがWebサーバでWebブラウザがクライアント、という構成となります(図1)。

図1: LAN内でブラウザからデバイスを操作

図1: LAN内でブラウザからデバイスを操作

一方、IoT/WoTの時代には、自宅やオフィス内のデバイスが多種多様となります。この場合、各デバイスにアクセスするためのURLをWebブラウザ等のクライアントに毎回入力するのは非常に面倒です。このような多数のデバイスを活用して、スマートに連携させたり、リアルタイムに大量のデータを収集・分析したりするためには、クラウドが重要な役割を担うことになります(図2)。

図2: IoT/WoTデバイスとクラウドの関係

図2: IoT/WoTデバイスとクラウドの関係

クラウド指向のWoTプラットフォーム

さて、IoT/WoTデバイスとクラウドの連携を前提とすると、前述のWebブラウザからデバイスに直接アクセスする形態とは少々勝手が異なります。ユーザのWebブラウザもIoT/WoTデバイスもクライアントとしてクラウド(Webサーバ)にアクセスするため、デバイスがWebサーバである必要はなくなります(デバイスのWebサーバがクラウドと通信しても構いません)。よって、クラウドとの連携が前提であれば、デバイス側の動作もWebアプリと同じ作法で実装できる方が好都合と言えます。このような構成では、Firefox OS (以下、FxOS)のように、Webブラウザのエンジン部分(ユーザエージェント; 以下、UA)をベースとしたOSが好適なプラットフォームとなります。そして、クラウド(サーバ)、デバイス、クライアントも全てWebのテクノロジーだけで構築する、Web of Thingsらしい全体像が出来上がります(図3)。なお、LAN内でユーザのWebブラウザから直接アクセスできるようにするために、FxOSのAPIを使ってWebサーバを実装しても構いません。

図3: Webブラウザ(UA)ベースで構築するWeb of Thingsの技術的構成

図3: Webブラウザ(UA)ベースで構築するWeb of Thingsの技術的構成

ここで、クラウドと連携動作する前提のWoTデバイスの場合、クラウドと連携するための通信や挙動を設計するアプローチとして、次の2通りが考えられます。

1.プロトコルやフォーマットを共通化・標準化(図4(a))
クラウドとWoTデバイスの間で通信するプロトコルやデータのフォーマットの仕様を予め規定し、これに従ってクラウドとWoTデバイスそれぞれを設計・実装します。規定に従っている限りではクラウドやWoTデバイスを別々のメーカーやベンダ等が開発しても確実に互換性が保証されますが、実装が制約されるため独自機能や拡張、アップデートなどの自由度が低くなるというデメリットが生じます。

2.連携動作のロジックごとWebアプリとして実装(図4(b))
UAベースのプラットフォームでは、WoTデバイスがクラウドからWebアプリをダウンロードして起動することができます。よって、プロトコルやフォーマットに従って通信する動作ロジック自体をWebアプリで実装してクラウドからWoTデバイスに渡すようにすることで、WoTデバイスもプロトコルやフォーマットに対応した動作が可能になります。すなわち、自由にプロトコルやフォーマットを規定しても確実にクラウドとWoTデバイスの間で整合性が取れるのがこのアプローチの利点となります。

図4: WoTデバイスとクラウドの連携のパターン

図4: WoTデバイスとクラウドの連携のパターン

UAベースのプラットフォームが快適に動作するには、WoTデバイスに対して十分なパフォーマンスでUAが動作するレベルの性能が求められます。一方、当ブログの記事「オープンソースプロジェクトMozOpenHardに参加して:FirefoxOSが動く小型ボードコンピュータ「CHIRIMEN」の開発」にて、FxOSが動作するWoTデバイス「CHIRIMEN」を紹介しているように、Webアプリを利用したWoTデバイスのクラウド連携は十分現実的なものとなってきています。

これからのWoTとWeb標準

これまで述べてきたWoTデバイスやクラウド、クライアントWebアプリは、実装スキルやクラウドの運用ノウハウといった、汎用的なWebテクノロジーを共通に適用できるのが大きな特徴です。また、継続的に進められているWeb標準の拡張によって、WoTもまた同様に進化していきます。

1.WoTデバイスとWebのセキュリティモデル
UAベースのプラットフォームの大きな特徴の一つとして、クラウドサービスでは日常的に運用されているWebのセキュリティモデルをそのまま適用できるという点が挙げられます。例えば、悪意あるサーバと勝手に通信することを防ぐためにUAで適用される同一生成元ポリシー(Same-Origin Policy)や、UAのクロスオリジン通信をクラウド側から制御するCross-Origin Resource Sharing (CORS)、UA側に意図せぬリソースの読み込みや不正なスクリプトの実行を防ぐためにクラウド側から制御するContent Security Policy (CSP)等が、UAベースのWoTデバイスとクラウドの連携においても活用できます。

2.多種多様なJavaScript API
HTML5の登場によって利用可能となった多数の高度な機能は、当然ながらWoTデバイスでも活用できます。WebSocketでクラウドと双方向に通信したり、クライアントWebアプリにWebRTCでリアルタイムに音声や映像を送ったりすることも、もちろん可能です。さらに、今後の標準化に向けて、W3Cでは例えばBluetoothNFCなどのAPIの議論が進行中です。(セキュリティやプライバシー等に配慮して慎重に議論が進められています。)

3.Webアプリのリアルタイム連携の強化
Webアプリによるリアルタイム連携をさらにスマートにする新しいWeb標準の仕様策定も進行中です。例えば、現在W3Cで標準化が進められている新しいAPIの一つに、Webアプリを開いていない間でも特定のバックグラウンド処理を可能にするService Workersがあります。本来はキャッシュの管理が主な機能ですが、他にも拡張機能として、プッシュ通知を受け取るPush APIや、ある場所(緯度経度)の近くに移動したことを通知するGeofencing API等の検討が進んでおり、Webアプリを開いていない間でも何らかのイベント発生時にUAに通知するための仕組みの標準化が着々と進んでいます。これらのAPIの標準化が進むと、クライアントWebアプリを開いていない時でもWoTデバイスとの柔軟なリアルタイム連携が可能になります。

まとめ

UAベースのWoTデバイスがクラウドと連携して動作すると、HTML5ならではの柔軟性や高い互換性、これまで確立されてきた膨大なクラウド運用のノウハウ、Service WorkersやWebRTC等のようなリアルタイム連携を強化するAPIの拡大、等の恩恵を受けられるという大きな利点があります。これによって、非常に幅広い目的や用途で(マルチユース)、多種多様なWoTデバイスやスマートフォン、タブレット等が(マルチデバイス)、それぞれのデバイスに適した通信によってクラウドと連携して(マルチネットワーク)、幅広いサービスを迅速かつ柔軟に構築することがWoT時代では十分可能になるのです。

スキマ時間を有効活用!クラウドで提供する社員教育研修の新しいカタチとは?

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 ~「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」をリリース~

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はじめまして、KDDI ベーシックパックサービス※の企画を担当しています松野です。Google AppsやOffice365を代表とする業務効率化、利便性を追求したSaaSアプリケーションは、多くの企業に利用される時代となりました。昨今では、ユーザーがクラウドアプリに求めるニーズが広がり、GoogleマップやGoogle Earth、乗り換え案内サービスなどアプリケーションのカタチも多様化してきています。KDDIでは、自社で資産を持たずにサービスを享受するというクラウドのメリットをアプリケーションの分野だけでなく、情報コンテンツ提供の分野にも範囲を広げて考え、お客様がスマートフォンやタブレット利用して、外出先のスキマ時間を有効活用していただけるコンテンツとして「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」を今年5月にリリースしました。お客様からのニーズが多かった「社員教育」をテーマに、動画研修の新しいカタチを提供しています。今回はこのサービスリリースを記念して、期間中に本サービスに申込頂いたお客様にはもれなく、Amazonギフト券1,000円分をプレゼントいたします。キャンペーンの概要は、この記事の最後に記載しましたので、是非この機会に新サービスを体感して頂ければと思います。本日は、「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」のサービス化に伴い、コンテンツ提供頂いた日本経済新聞出版社の橋本さん(写真中央)、ストリーミング配信にご協力頂いたイー・コミュニケーションズの今村さん(写真右)と共に、サービス化への想いやこだわりをご紹介させて頂きます。
ベーシックパックとは、auをご利用頂いている法人のお客さま向けに、スマートフォン、タブレットでのご利用に適した12種類クラウドアプリ(セキュリティ対策/ファイルストレージ/勤怠管理など)の中からを6種類を選択して月額372円(税抜)でご利用頂けるサービスです。

サービスリリースに至るまでの経緯、なぜ教育コンテンツなのか

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KDDI 株式会社 松野 昇平

松野:今回は、KDDIのクラウドサービスであるベーシックパックへの追加サービスとして「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」をリリースするにあたり、多大なご協力を頂きありがとうございました。ベーシックパックは、業種、業態を問わずスマートフォン、タブレットを利用する企業向けに実用的なサービスを網羅して提供しているのですが、既存ユーザー向けにアンケート調査を行ったところ、教育コンテンツを求める声が多くありました。自社で研修コンテンツを制作するのは負荷が高いことと、集合研修は、コストや時間の関係で年に何度も実施することが出来ないので、「隙間の時間を利用して社員のセキュリティ意識やマナー向上を実現できないか」という声でしたね。そこで、外出時や通勤時間などを利用して社員の精神的、時間的負荷が少なく社員教育のベーシックなものを提供できないかという考えに至りました。最適なコンテンツを求めて数多くのe-learningコンテンツや動画を拝見し、最終的に日本経済新聞出版社で提供されている日経VIDEO&DVDはクオリティが高く、見ている私達の心にすんなり入ってくるところが決め手となりコンテンツ提供のお願いをさせていただきました。コンプライアンスなど難しいテーマも堅苦しくなく、むしろ面白く気持ちに入ってくるところはさすがだな、と思いましたね。

橋本氏:先を見たくなる、最後まで見たくなるストーリーになるよう工夫したコンテンツ構成にしているので、すんなりと気持ちに入ってくるという評価は嬉しいですね。注意すべきことが言いにくくなってきた時代でもあり、上司から直接伝えるよりも上司も部下も共にDVDを視聴し、共感して頂く方が効果は得られやすいと思います。

視聴者が共感し、心に浸透するコンテンツを

株式会社日本経済新聞出版社
橋本東光雄氏

松野:ベーシックパック用のコンテンツは3分から5分ほどのショートコンテンツとして分割してご提供いただいていますが、元々のDVDにてご提供されているコンテンツは1時間~2時間と長編ストーリーが多いですよね。視聴者に飽きさせない工夫はどのようにしているのですか。

橋本氏:知識を教え込むよりも気づきや注意を喚起できるようなコンテンツを目指していますね。専門的な知識習得は、書籍や他の研修に任せて、映画のように見て気分が変わる、マインドがスイッチするようなものを意識しています。具体的には、一人が一方的に喋って延々と説明する授業風景的なものは避け、ドラマ仕立てにして先を見たくなる、最後まで見たくなるストーリーにこだわって制作しています。教育コンテンツですから、細かいことも、きちんとしたこともいいながら難しくなりすぎずにマインドに訴えるコンテンツを作っていきます。

松野:お客様からはどのような反応をいただいていますか。

橋本氏:「これが言いたかったんだよね」という嬉しいお客様の声をいただいています。知識の詰め込みや本を読んでおけとなると時間を要したり、人によって習得レベルが偏ったりしますが、「視聴することで全体に浸透し、行動が変わった」ということはよく言われることですね。

直観的にわかるインターフェース、管理者のチェック機能

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株式会社イー・コミュニケーションズ
今村利康氏

松野:動画の配信に際して、使いやすさにはこだわって頂いたかと思いますが、どのような点がこだわりですか?

今村氏:まずは、お使い頂くユーザーが直感的にわかるインターフェースであることにはかなりこだわっていますね。WEBサービス全般に言えることですが、利用前にユーザーが自ら進んでマニュアルを読むことは少ない傾向にあることから、マニュアルを読まなくても利用できる、わかりやすいインターフェースにこだわって制作しています。また、ベーシックパックのユーザーはスマホで視聴するケースが多いと想定されることから、よりシンプルなスマートフォン向けのインターフェースにしてご提供しています。

松野:また今回、教育コンテンツの配信ということで管理者のチェック機能についてはお客様アンケートでも多く要望が寄せられた点でもありました。

今村氏:弊社の経験上、WEB学習においては上長または管理者が進捗状況のチェックを行うか否かで受講率は30~40%は変化します。このサービスでは理解度チェック機能を用意しており、管理者(システム上は「監督者」という)が受講率、理解度を一目で把握できるようになっていますが、これはご好評いただいていますね。e-learningを見なさい、やりなさいだけでは人はなかなか動かないので、上長や管理者の方が視聴状況を確認できるかどうかは重要となってきます。

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マニュアルフリーに利用できるシンプルなインターフェース

管理者チェック機能により受講率を確認可能

管理者チェック機能により受講率を確認可能

コンテンツのテーマ選定にあたって

松野:今回、ベーシックパックのユーザー向けに提供するコンテンツは3テーマあり、常設として「コンプライアンス」「ビジネスマナー」の2テーマを提供し、もう1つは約3ヶ月毎に時節に応じたコンテンツを提供していきます。「ビジネスマナー」は新入社員だけではなく、私のような中堅社員が見てもハッと気づかされる部分は多かったですね。また「コンプライアンス」は注意喚起する上で定期的に見て頂きたいコンテンツですね。

橋本氏:「コンプライアンス」は最もニーズの高いコンテンツであり、「ビジネスマナー」も安定して需要のあるコンテンツですね。視聴者から、「日経さんのコンテンツは簡単だね」と言われることがあるのですが、最近の事件を見ても、人的ミスにより大きな問題が起きていますよね。「怪しいメールの添付は開かない」と誰もがわかっている事でも実際に簡単なミスで事件は起きており、管理者が継続して注意喚起していくことが重要となってきます。サイバー対策なども重要ではありますが、いかに身近に起こりうる「うっかりミス」を無くせるかをコンテンツで訴求できればと思っています。

松野:携帯の紛失も後を絶たないですし、添付メールも巧妙な手口が増えていますからね。3ヶ月ごとに変更するテーマについては、疲れが出てくる時期であれば「メンタルヘルス」や、事件の教訓から「個人情報の取り扱い」を取り入れるなどユーザーのニーズを汲みながらコンテンツを提供していきたいですね。

今村氏:新着コンテンツに関しては、ログイン後のトップ画面に表示される「お知らせ」にて予告等が掲載させる予定となっています。また、今後の取組みとして、システムのアンケート機能を利用してユーザーからの意見、要望を受付けるなど、実際に視聴した方の声を集めていくことも視野に入れています。

スマホ、タブレットを活用した研修方法でコスト削減効果

松野:今回は、スマートフォンやタブレットでもコンテンツを視聴頂くということで、スマホで見るのであれば、4~5分が限度であるという話し合いの結果を見事、カタチにできましたよね。ユーザーにはどのように利用していただけると思いますか?

今村氏:ユーザーにはそれぞれの隙間時間(例えば移動中など)を使って気軽に視聴して欲しいですね。また、各Chapterのそれぞれにある理解度チェック機能を利用していくことで、自分の進捗を把握しながら、無理なく視聴を継続いただけると思います。そうすることで、従業員を一か所に集めて一斉に研修を実施する、いわゆる集合研修に比較して大幅に研修コストを削減できると考えています。

橋本氏:研修の目的別に使い分けて効率化を図ってほしいと思いますね。自社でコンテンツを作るのは非常にお金がかかるので、汎用的なものをうまく活用して社員の意識向上を図っていただきたいと思います。

松野:まずは多くのお客様に「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」を試しに使ってみて頂いて、新しい研修方法の可能性を体感していただきたいですね。本日はお忙しいところご協力いただきありがとうございました。

《対談を終えて》
このサービスを立ち上げるのにあたって、DVD制作・販売とストリーミング配信、そしてスマートデバイスとクラウドというまったく異なるビジネスモデルを提供する3社でしたので、課題は多くあったのですが、実現することができたのは、やはり橋本さん、今村さんと弊社が現状のサービスを超えて更に新しい価値をお客さまに提供したいという共通の思いをもてたからだと思います。その思いを再確認できた今回の対談でした。

◎日本経済新聞出版社 橋本さんプロフィール
株式会社日本経済新聞出版社 編集部 事業系編集グループ 日経VIDEOプロデューサー
社会の変化やお客様の声に耳を傾け「視聴者が飽きない効果的な研修コンテンツ」の製作・販売を行っている。

◎イー・コミュニケーションズ 今村さんプロフィール
株式会社イー・コミュニケーションズ RCD(Resultant Crew Division) ICT教育セクション所属。
「自ら考える人創り」をテーマに、企業内教育システムの構築・運用をはじめ、豊富なコンテンツを用いた社内教育を提案している。

「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」に関するお問い合わせはこちら
ベーシックパックに既に加入されている方でしたら、追加料金が発生することなくサービスに加入いただけます。

日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」お申込者にもれなく、
Amazonギフト券1,000円分プレゼントキャンペーン

図1

<キャンペーン期間>
2015年8月3日(月)~10月30日(金)

<プレゼント応募条件>
日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」にお申込頂いたお客さま。

<適用条件>
・「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」の申込は、ベーシックパックへの申込が必要となります。
・既にベーシックパックにお申込頂いているお客様は、上記サービスを追加登録していただくだけで、プレゼントの 対象になります。(6つ以上のサービスを既に申し込まれている方は、本サービスの追加登録により追加料金(1IDあたり191円/月)が発生します)
・ベーシックパックお申込みの条件はこちらをご確認ください。

<申込方法>
下記手順に従ってキャンペーンのエントリーフォームに必要事項をご記入ください。エントリー頂いたお客様に「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」の申込書を郵送にてお送りさせていただきます。申込書をご記入の上、5日以内に返信用封筒にて申込書をご返信願います。返送が遅れますとプレゼント対象外となる可能性もありますので、ご注意ください。

図2

<プレゼント発送>
※「日経VIDEO Web Service for ベーシックパック」の申込書をKDDIにて受領後、2週間以内にアマゾンギフト券1,000円をお送りさせていただきます。
※アマゾンギフト券は、ご登録頂いたメールアドレス宛にお送りします。
※キャンペーン期間を過ぎますとプレゼント対象外となりますのでご注意ください。

<注意要項>
・キャンペーン期間や特典内容および適用条件に変更が生じた場合、予告なく変更、または中止する場合があります。
・サービス申込にかかわる登録内容に虚偽誤りがある場合、その他不正な参加と弊社がみなした場合には応募を無効とする場合もありますのでご注意ください。
・お申込をされても、ご登録頂いたお客さまのメールアドレスが誤っていた等の理由によりご連絡できない場合もございますのであらかじめご了承ください。
・発送にあたり情報確認のため、弊社よりお客さまにご連絡させていただく場合がございます。
・Amazon.co.jpは、本キャンペーンのスポンサーではありません。

<Amazonギフト券について>
・Amazon ギフト券細則についてはhttp://amazon.co.jp/giftcard/tc (PC)またはhttp://amazon.co.jp/jpgc_tc_aw (携帯)をご確認ください。
・Amazon、Amazon.co.jpおよびそのロゴはAmazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

【個人情報の取り扱いについて】
ご記入いただいた個人情報につきましては、以下の目的に利用させていただきます。
(1)利用料金等に関する業務
(2)お客さま相談対応に関する業務
(3)現行サービス、新サービス、新メニューに関する情報提供業務
(4)アンケート調査に関する業務
(5)利用促進等を目的とした商品、サービス、イベント、キャンペーンに関する業務
(6)新サービスの開発、サービス品質の評価・改善に関する業務
(7)その他、契約約款等に定めによるもの

詳しくは弊社プライバシーポリシーをご覧ください。

<本キャンペーンに関するお問い合わせ先>
KDDI株式会社
日経VIDEO Web Service forベーシックパック 担当 <bp-support@kddi.com >

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KCPSのインスタンス構成の”見える化”を提供開始!

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KDDI クラウドプラットフォームサービス(以下、KCPS)の開発を担当している北条です。2015年8月8日よりKCPSのカスタマーコントローラであるAdmin Consoleで、KCPSの仮想サーバ(インスタンス)やネットワーク情報からシステム構成図を自動的に作成するフォーメーション機能を提供開始します。

フォーメーション機能の特徴

特徴1. 日々更新されるクラウドの構成や設定をボタン1つで管理することができます。

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特徴2. ユーザ間で常に最新のシステム構成図を共有できます。

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特徴3. 常に最新のシステム構成図をファイルで社内外の関係者と共有できます。

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開発への関わり

今回の開発では、お客様へ提供する価値で判断して、優先順位の高い機能からチーム全員で協力して開発してリリースするスタイルで実施しました。私はスクラムマスターとして、プロダクトオーナーとエンジニアチームが一丸となるためのチーム運営をする立場で関わっています。

開発に至った背景


私は5年間ほど情報システム部門で、社内ネットワークやインターネットサーバのインフラ構築・管理を担当していました。当時は、システム構成図をExcelやVisioで作成して、プリントアウトしたものを傍らに置いて、障害対応や作業時によく見ていました。サーバ追加等の構成変更の際には、上司から構成図の更新を依頼されて、絶対に間違えないように何度も見返しながら作ったことを覚えています。

また、IPアドレスやサーバを如何に見やすく配置するかにも気を使いました。その頃はクラウドや仮想化が未だ無かったこともあり、構成変更の頻度は少ない状況でしたが、クラウド上でシステムを構築されている現在の管理者の方は、クラウドの構成変更のスピードについていくことにご苦労されているのでは、と思います。

このような背景から、システム構成図の自動作成は、クラウドを管理運用する上で重要な機能であると考えました。また、モックアップを作ってお客様へヒアリングし、「見える化で運用負荷を軽減できる」、「KDDIのサポート部門とのやりとりではこちらの構成を理解してもらうことが難しかったが、これがあれば簡単に情報共有できる」とのご意見をいただいたことで、開発を着手するきっかけとなりました。お忙しい中でお時間をいただいたお客様にこの場を借りて感謝申し上げます。

デモ

まずは、インスタンス作成からネットワーク構成図が更新されるまでのデモをご覧ください。

 

CloudStackのインスタンス構成を即時にシステム構成図として表示

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CloudStackネイティブUIでのインスタンス一覧がワンクリックで構成図として表示されることをお分かりいただいたと思います。KCPSでは、KDDI Business IDでID管理が実現されていますので、KDDI Business IDを持っている同じドメインのユーザ間で常に最新のシステム構成図を共有できます。

SVGによる実装

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また、SVGで描画されるので、ウェブブラウザで拡大縮小しても画像劣化が発生することなく表示されます。管理するシステムが大規模になり、インスタンスやネットワークの数が増えると、全体を俯瞰することが難しくなる傾向にありますが、KCPSのフォーメーション機能ではシステム構成の概要と詳細を自由に確認することができます。

システム構成図のPDF出力

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SVGのベクタデータを保持したままPDFファイルとして出力します。これにより、ウェブブラウザと同様に拡大縮小のメリットを享受できます。また、社内外の関係者の間で常に最新のシステム構成図を共有できます。

ファイアウォール・ロードバランサのポリシー情報の一括出力

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CloudStackネイティブUIでファイアウォールポリシーを閲覧するには数ステップが必要となりますが、KCPSのフォーメーション機能では、2クリックでファイアウォール、ロードバランサ、ポートフォワード、NATのポリシー情報を一括でCSVとして出力することができます。

開発で苦労した点

KCPSでは、KDDI Wide Virtual Switch(WVS)接続用のIntraFront Segmentや、サーバ間通信用のBack Segment、開通時に既定で割り当てられるMonitoring Network(※)が存在します。いずれもShared Networkであり、仮想ルータは最初のインスタンスが作成されてから起動します。複数のShared Networkが割り当てられている場合に、仮想ルータの起動順番がネットワークにより異なるため、データの取得順番や方法を工夫しました。また、インスタンスとネットワークの関係が見やすくなるように、できるだけ縦線とIPアドレスが重ならないように配置を試行錯誤して実装しました。
(※)KDDIが提供するOSのライセンス認証やNTP参照用の契約毎にクローズドなネットワークです。

最後に

今回の開発では、お客様へ提供する価値を重視するスタイルで実施しました。今後も同様のスタイルで、お客様の声とデータをもとに機能追加を順次実施していく予定です。KCPSをお使いの皆様からのフィードバックをお待ちしております。本ブログの「Contact」フォームにご意見頂ければ幸いです。最後までお読みいただきましてどうも有難うございました。

モバイルプラットフォームでのオープンソース系OSの活用について

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上月です。クラウドの対になる側のモバイルプロダクトの商品企画を担当しており、特にスマートフォンに代表されるスマートデバイス向けのOSの導入に携わっています。その中でもプロプライエタリなOSではなく、オープンソース系OSに強い興味を持ち、通信事業者としてそれらをどのように活用することができるか?というテーマに取り組んでいます。今回は、これまでの当社でのモバイルプラットフォームへのオープンソースの導入経緯や企業での利用、それらの経験から私なりのオープンソースに対する考え方、展望について述べたいと思います。

果たしてオープンソースはモバイルプラットフォームに利用できるのか?

この課題は当社が初めてモバイルプロダクトにオープンソースのOSを導入するかどうかの検討をした際にまず目の前に立ちはだかった最大の壁でした。当社のau携帯電話ではそれまでは米国半導体メーカのQualcomm社のBREW(Binary Runtime Environment for Wireless)を2002年よりフィーチャーフォン用プラットフォームとして利用してきました。しかしながら基本的にシングルタスクで動作するOSでは当時急速に進化していたPCを使ったマルチタスク前提、複数のイベントの同時処理等を要する機能やサービスをモバイルで利用するには様々な制約が出始めていました。それらを解決する為に色々なアプローチで対応しようとしたものの膨大な開発期間、開発コストを要することになってしまいました。

そのような中、Google社より2008年にLinuxをベースとし、その上位レイヤーにJavaプログラムの実行環境や最新のインターネット技術を盛り込んだAndroid OSがオープンソースとしてリリースされました。そのAndroid OSに興味はあったものの私自身が実際に端末に触れたのはGoogle社のオフィスに伺った際の何とも不思議な操作体験であり、とても興味を持ったことを今でも鮮明に覚えています。しかしながら通信事業者である当時の当社内ではオープンソースのモバイルプラットフォームの採用実績は全くなかった為、スムーズに推進することは困難でした。その後、業界内でも次第にスマートフォンに興味を持つ人が増え、実際に端末メーカや通信事業者と様々な動きが活発化し、その流れを受けて当社でも開発に着手することになりました。

オープンソースは利用すべき?避けるべき?Android端末の開発を通じて実感したこと

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オープンソースAndroid端末として初のワンセグテレビ、緊急地震速報に対応した「IS01」

「オープンソースは利用すべき?避けるべき?」という課題については特に企業においてはよく議論が起こるテーマだと思います。しかし当時の開発チームで出た結論を先に書きますと、「味方につけるのが得策」ということに直ぐに至りました。このBlogをご覧の皆様では既にそれは半ば常識と思われている方が多いことと思います。しかし既にサーバ分野では何年も前よりLinuxに代表されるオープンソースOSの商用利用が増加し、まだ実績も豊富に存在していたのに対して、モバイルデバイスの世界ではまだ使いものになるのか?といった意見が根強くあり、私自身もまだ何が起こるか分からないと身構えていました。日本国内向けのプロダクト且つそれがコンシューマ用ともなると高い品質レベルが例外なく問われます。さらにグローバル仕様ではカバーされない日本市場独自の赤外線通信機能やワンセグテレビ、FeliCa機能、緊急地震速報対応や分かり易いUIなど様々な機能の追加開発も必要でした。なぜ直ぐにオープンソースは味方につけるべきものと考えたかについてですが、当時端末開発時に実感した事象でした。それは、結局自分達が新たに作ったソフトウェアよりもオープンソースで提供されているソフトウェアの方が断然安定していて、しかも必要なものがオープンソースとして誰かが作ったものが公開され、揃ってきているという事象でした。それまでどんな事になっているのか知らなかった自分にとっては良い意味でショッキングなことでした。ちなみにその頃はまだ3G全盛の時代で、当社でもシャープ社とAndroid初期モデル開発の最中でしたが開発メンバー間では、世界でLTE導入が開始される時点でのモバイルプラットフォームは全てAndroidスマートフォンになるだろう、という予想もしていて、まさにその通りとなりました。

企業によるオープンソースへのコントリビューションの意義について

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オープンソースのAndroidを搭載した端末として、初めてFeliCa機能に対応した「IS03」

これは今でも様々なパートナー企業の現場の方々から耳にしたり今でも時々相談いただくこともあるテーマですが、企業が自社のノウハウ、人的リソース、コストを消費して折角作り上げたソフトウェアをどうして無償で公開、強いては競合する企業までもが利用できるように提供するのか?という課題が立ちはだかります。自社によるソフトウェア開発の歴史がある企業ほどその葛藤に悩まされるケースが多いと思います。しかしこの葛藤もAndroidスマートフォンの開発を通じて直ぐに「コントリビューションすべき」という結論に至ることができました。幸いなことに当社の場合、モバイル向けソフトウェアの開発の歴史はそう長いものではありませんでしたのでコントリビューションすることに異議を唱える人は居ませんでした。

結局自分達が何を作りたいのか?それはどんな方法で実現しようとしているのか?ということを自社に閉じて行っていると必ずと言ってよい程、世間ズレを起こすことになり、実現がより遠のいてしまいます。自分達のアプローチが合っていても間違っていても公開することによりコメントやアドバイスを得ることができます。例えばFeliCa機能の搭載実現時もそうでした。もし特定の端末だけで独自の実装で排他的に行っていたら誰からも協力を得られなかったと思います。今では日本で販売されている殆どのAndroidスマートフォンにFeliCa機能が搭載されていますが、その実現にはOS開発会社、端末メーカ、FeliCaチップメーカ、FeliCa運営会社、サービスプロバイダ、通信事業者がセキュリティの担保方法も含めオープンな場で議論することによって限られた時間の中でも実現することができました。特にセキュリティの担保方法は各社の考えを尊重する必要もあり、シリコンバレーにあるGoogle社へも関連する企業の方々と共に直接出向き、現地で相談に乗っていただき実現することができました。ちなみにシリコンバレーにはこのプロジェクトを通じて何度行ったか分からない程頻繁に通いました。これらの取組みのメリットは今日のスマートフォンに数多く搭載されている各種デバイス(タッチパネルディスプレイ、センサー類等)にも当てはまります。それらデバイスを動かすドライバソフト、ライブラリを公開することにより、その”作法”に合わせた様々なツールを作る人が外から現れ、そのデバイス自体を作ったメーカですら思いつかないような使いか方が出てきたりもします。これはクラウド側のアプリケーションでのWebAPIの公開で起こっている現象と同様のものと思います。世間の動きと一緒に自社のプロダクトやサービスを追随させることが容易となり、今の時代には欠かせない考え方であると思います。クラウド側の進化が著しい現在において、その対となるクライアント側のモバイルデバイスにおいてもその進化に応えていく為には必然的な流れと言えるでしょう。ちなみに当社ではその後、モバイルデバイスのみならずグループ会社のケーブルテレビ会社(J:COM社、JCN社)向けのAndroidを採用したセットトップボックスをパナソニック社とともに開発し、一般のお客様にご利用いただだいております。

モバイルへのWebプラットフォーム技術の応用

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オープンソースでWeb OSの「Firefox OS」端末として、初めてLTEネットワークに対応した「FX0」。

Androidがここ数年の間に大きな進化、普及を果たし、既に機能も芸術的ともいえる領域まで至ってきた中、今度はWeb技術をモバイルプラットフォームそのものに活用する新たな動きが出てきました。古くは米国のPalm社が2009年に発表したWebOSというものがありましたが同OSはその後にHP社へと移り2011年にオープンソース化され、現在ではLGエレクトロニクス社が事業を引き継ぎ同社のスマートテレビ等で利用されています。

その後、2011年に米国Mozilla社より同じくWeb技術を全面的に利用した現在のFirefox OSの元となるB2G(Boot to Gecko)の構想が発表され、2013年以降複数の端末メーカ、通信事業者により提供が開始されました。当社でもWebAPI同様にデバイスまでもがWebAPIと同様にHTML,CSSやJavascript(総称してHTML5)で制御可能という仕組みが斬新であり興味を持った為、当社としても2012年に同OSへの賛同表明を行い2014年に「Fx0」というFirefox OS端末をLGエレクトロニクス社と開発し、世界で初めてとなるLTE対応Firefox OSスマートフォンとしてギークなお客様向けの特別なプロダクトとしてリリースしました。その他、モバイルデバイスではありませんが、今年の新たな動向としては5月にパナソニック社よりFirefox OSを採用したスマートテレビも発売が開始されています。

モバイルプラットフォームの今後の展望

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当社が出資する米国スタートアップ企業 Monohm Inc.による、WoTの具現化を目指したデバイス”Runcible”のイメージ。

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”Runcible”の利用イメージ

私の周囲にはできればNativeではなくWeb技術でモバイルアプリケーションを作れれば理想という人は多くいます。しかながらそこにはまだ技術的にもビジネス的にも議論が存在し様々な企業が模索している最中といえます。まだ暫くはその議論は続くものと想定します。しかし重要なことはより多くの人や企業がオープンな環境で試行錯誤しながら新たなイノベーションを起こしたり、素晴らしいプロダクトやサービスを生み出すことにあると考えます。あらゆる意味で色々なモノや情報がオープンに繋がり合っていく世の中においては外部と連携したモノづくりは今まで以上に重要になってくるものと思います。

1991年に世界初となるWebサイトの公開が始まって以来、インターネットといえば殆どの人がWebをイメージするまで拡がり、多くの人の生活に溶け込み、さらに進化を続けています。その背景には数え切れない程の人々の貢献があったものと思います。そのフェアなインターネット、Web技術が媒体となり、従来のプロダクトの範囲にとどまらず、「モノのインターネットと呼ばれる」IoT(Internet Things)やWoT(Web of Things)、A.I.(Artificial Intelligence:人口知能)、ロボティクス分野やハードウェア作りにおいてもより一層重要なものになると思います。その為、当社でもこれまでの考え方にとらわれることなく、絶えず環境の変化や技術の進化に追随し、オープンソースに対しても継続的なコントリビューションを続けながら、フレキシブルなモノづくりを、パートナー企業や団体、コミュニティの方々と一緒に推進していきたいと考えています。

AWSエバンジェリスト渥美俊英氏とKDDI 藤井彰人の対談が実現!

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KDDI×アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の共催セミナー開催のお知らせ~

みなさまこんにちは、佐藤です。これまで私からはキャリアであるKDDIがキャリアレベルのQualityで提供しているKCPSに関する記事を投稿していますが、KDDIがCloudの最先端を走るAmazon Web Services(AWS)を活用して提供している「AWS with KDDI」はご存知でしょうか?「AWS with KDDI」に関しては、過去、AWS with KDDIのサービス概要や、AWS Direct Connectについてを本Blogに記事を投稿しておりますので、ご覧になられた方もいらっしゃるかと思います。

今回は、KDDIとアマゾン データ サービス ジャパン株式会社(AWSの日本での運営会社)の共催セミナーのお知らせとなります。このセミナーは、お勧めです。なんと、あのAWSエバンジェリスト 渥美俊英氏とKDDIのクラウド戦略を推進する弊社の藤井彰人のそれぞれの講演だけでなく、「クラウド時事放談」と題しまして、対談もございます。

セミナー詳細は以下をご確認下さい。

日時:2015年9月9日(水)13:30~16:00(受付開始: 13:00)
場所:アマゾン目黒オフィス 19Fセミナールーム(目黒雅叙園隣り、目黒駅より徒歩5分程度)
セミナー概要:
・AWSクラウドで変わる企業の業務システム~最新事例とクラウドの価値~
   (アマゾン データ サービス ジャパン株式会社 エンタープライズエバンジェリスト 渥美俊英)
・イントラから使うクラウド利用のポイント~KDDIのクラウド戦略と共に~
   (KDDI株式会社 クラウドサービス企画部 部長 藤井彰人)
・クラウド時事放談~クラウドの真価がもたらすもの~
   (アマゾン データ サービス ジャパン株式会社 エンタープライズエバンジェリスト 渥美俊英、
   KDDI株式会社 クラウドサービス企画部 部長 藤井彰人)”
参加費用:無料 (事前登録制) ※詳細・お申し込みは、こちら

渥美氏からみなさまへのメッセージ

ご来場を検討されているみなさまに渥美氏よりメッセージをお預かりしておりますので、ご紹介させていただきます。

『エンタープライズにおける業務システムのクラウド利用が急加速しています。
一方で、まだクラウドに漠然とした不安の声も聞かれます。本セッションでは、クラウド導入の最新事例と動向をご紹介し、それを支えるAWSクラウドについて、ご説明いたします。クラウドは、単なるオンプレミスのハードウェアの置換えではなく、IT部門の役割や人材像にも変化を与え、かつてないITトレンドを作りつつあります。
「クラウド時事放談」では、最新ITとクラウドの業界を歩んでこられた藤井氏との対談で、これらの幅広いクラウドの話題をご提供します。皆様、是非本セミナーにご参加ください。』

みなさまのご来場をお待ちしております!

セミナーのご来場者には、素敵なノベルティをご用意してお待ちしておりますので、みなさま奮ってご参加をお待ちしております。
大切なことですので、もう一度申しますが、セミナーのお申し込みは、こちらをクリックしてください。みなさまのご来場をお待ちしております。

◎渥美俊英氏 プロフィール
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筑波大学卒業後、電通国際情報サービス(ISID)に33年勤務、定年後2015年7月から現職。
ISIDでは、インターネットバンキングなど金融向けシステム開発を経て、技術支援部署長を歴任。2009年からAWSにいち早く着目し、クラウドエバンジェリストとして、社内外でクラウド推進の活動に注力。金融機関向けクラウド利用、経産省クラウド、情報セキュリティ活用ガイドライン執筆など、クラウドの技術、セキュリティ、ガバナンスに詳しい。コミュニティ活動でも知られている。

Microsoftイベント 「FEST2015」へ出展します!

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※The Microsoft Conference 2014 KDDIブース

Office 365 with KDDI担当の岡安です。KDDIはマイクロソフト社のイベント「FEST2015」に出展しますのでお知らせいたします!

FEST2015 ~革新とその先への共創~ Foresee, empower, Spark & Transform

開催日(展示会): 2015年9月3日(木)~9月4日(金)
場所:ザ・プリンスパークタワー東京 〒105-8563 東京都港区芝公園4-8-1 TEL: 03-5400-1111
参加費用:無料(事前登録制)  詳細、及び事前登録はこちらをご参照ください。

「FEST」は昨年までそれぞれ個別に開催していたイベント、「Japan Partner Conference」「Microsoft Conference」「Dynamics Forum」を発展/統合した、日本マイクロソフト最大規模の新プライベートイベントです。
今回、展示ブースではビジネス利用に最適なクラウド、「Office 365 with KDDI」のほか、「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」や「KDDI Business ID」といった、クラウドご利用時に気になるネットワークやセキュリティへの対応策も併せてご紹介します。

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更に、昨年に引き続き、アンケートに回答いただいたお客様に各種商品が当たる抽選会も開催予定です。
皆様のお越しをお待ちしております!

9/3はKDDI 藤井彰人が登壇しランチセッションを開催

日時:2015年9月3日 12時30分~13時15分
講演者:KDDI株式会社クラウドサービス企画部 部長 藤井 彰人
タイトル:ネットワークに強いKDDIがおススメするセキュアなクラウドの使い方

お客さまのクラウド利用を全面的に支援するKDDIからのご提案です。皆様、お誘いあわせの上、是非ご参加ください!
※参加には事前登録が必要です。詳細、及び事前登録はこちらから!


KCPSにひとつ上の安心・安全を追及したオブジェクトストレージ提供開始

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KDDIクラウドプラットフォームサービス(以下、KCPS)の開発リーダの前原です。KCPSのスレージではシステム(※1)・データ(※2)・バックアップ(※3)に次ぐ4種類目となるオブジェクトストレージを2015年9月7日より提供開始します。こちらは、「99.999999999999%の堅牢性」、「一般的なクラウドサービスとは異なり、ネットワーク接続料とデータ転送料が不要で安価」、「auスマートパス基盤での規模と経験を活かした安心のサービス」といった特徴を持つサービスで、先日のプレスリリース後、多くのメディアにも取り上げられ、またお客様やSIer様からも大きな反響を頂いております。
さて、本オブジェクトストレージサービスの基盤は、Cleversafe社の独自分散技術「Dispersed Storage Network」ストレージによって構築しました。今回はこのサービス基盤のテクノロジーについて、いくつかご紹介したいと思います。

1.クローズド環境で利用できるオブジェクトストレージ

オブジェクトストレージという名前は皆さまも聞かれたことがあると思います。
ファイルなどのオブジェクトをHTTP上のREST(Representational State Transfer)を用いてストレージへの書き込み・読み出しが行われます。そのためインターネットHTTPと相性のいいWeb系アプリケーションデータ(写真、ムービーなど)やコンテンツ、アーカイブなどの大容量ファイルの保管先として活用されてきています。

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ところが一般エンタープライズでの利用にあたっては、インターネット上にあるオブジェクトストレージはIDとパスワード認証だけで簡単にアクセスできてしまうためセキュリティが心配、社内のセキュリティルールと合わないので使えないとの声が多数ありました。そこでKCPSで提供するオブジェクトストレージは、KCPS上の仮想サーバからは勿論、お客様のイントラネットからもクローズドなネットワークで利用できる環境を準備しました。また認証についても、単にIDとパスワードだけの認証ではなく、イントラネットワーク回線とIDを紐付けた多要素認証を行っており、不正アクセスや通信傍受などの心配を排除しました。

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2.セキュリティが自慢

KCPSのオブジェクトストレージはクローズドネットワークで高いセキュリティ環境で利用できることが特徴の1つですが、ストレージを安心してご利用していただく工夫はネットワークだけではありません。データ保存の仕方にも工夫を行っています。

1.保存要求を受けた全てのデータをRC4-128bitで暗号化を行います。

2.暗号化したデータを18分割し、各スライスにパリティデータを付与

3.パリティを付与した各スライスは3つのデータセンタに6スライスずつ分散保存

最終的な保存先であるストレージが、万が一物理的に盗み取られても、1つのデータセンターには最大で6スライス分の情報しか存在しないため、保存されたデータを復元することはできません。また仮に3つのデータセンターから同時にストレージが盗みとられるようなことがあっても、データはRC4-128bitで暗号化されているため、保存した情報を解読されるリスクは極めて低い仕組みとなっています。

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3.堅牢性99.999999999999%設計のストレージとは

KCPSのオブジェクトストレージの各ハードウェアコンポーネント、ネットワークを含めてSPOF(単一障害点)がない設計となっています。分散保存したデータがどこに配置されているか記録したインデックスやメタデータについても、複数のノードが管理し、単一のマスターノードが存在しない構成となっています。各コンポーネント自体も厳選しており、たとえばデータを格納するHDDのパーツ1つにまで、定めたMTBF基準に達した製品を採用しています。

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高信頼性ハードウェアを制御するストレージソフトウェアの特徴として、高い冗長性能をもつErasure coding方式を採用しています。KCPSのオブジェクトストレージでは保存するデータは18分割し、各スライスには他のスライスのパリティデータを付与し、物理的に離れた3つのデータセンターに6スライスずつ分散保存しています。あるスライスが失われたとしても、それ以外のスライスを使ってデータを復元する仕組みとなっており18個のスライスの内の最低11個があれば元のデータを復元できます。大震災などで1つのデータセンターが被災するような事態でも、保管したデータを失うことのない設計となっています。

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最後に

今回、安心と安全のための技術を詰め込んだオブジェクトストレージをご紹介しました。お客さまに満足していただける「KCPS」となるよう、これからも機能追加を実施していく予定です。ぜひご期待ください。

 

  • ※1:システムストレージ:OS起動ドライブに加え、仮想サーバへ追加マウントできるデータベースなどに適したストレージ。10GB~2TBの範囲で追加できます。
  • ※2:データストレージ:OS起動ドライブに加え、仮想サーバへ追加マウントできるファイル保存などに適したストレージ。10GB~2TBの範囲で追加できます。
  • ※3:バックアップストレージ:OS起動ドライブおよび追加ディスクのデータをバックアップするためのストレージ。Admin Consoleの操作により作成できます。

CloudBerry Backup を使ってみよう! KCPSオブジェクトストレージへのデータバックアップ

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クラウドサービス開発部 松本です。今回はオブジェクトストレージへのデータバックアップソフト「CloudBerry Backup」をご紹介させて頂きます。8/31のニュースリリースの通り、KCPSオブジェクトストレージがリリースされ、本サイトでも紹介記事を掲載しております。オブジェクトストレージの用途として、大容量のデータをバックアップするケースがありますが、CloudBerry Backupはそうした用途に最適なツールとなります。

1.キャンペーン実施中!

多くのお客様にKCPSオブジェクトストレージをお試し頂くことを目的として、CloudBerry Backup (Server Backup Edition)の無料提供キャンペーンを実施しております。詳細はキャンペーン申込みサイトをご参照ください。(キャンペーンはキャンペーンお申込先着50社となります。)

2. CloudBerry Backupとは?

CloudBerry Backup は、Windows Server上のデータをオブジェクトストレージにバックアップするためのソフトウェアです。KDDIでは2つのEdition(Server Backup/Enterprise Backup)を取扱います。Server Backupはバックアップ容量が最大1TBに制限されます。Enterprise Backupは無制限です。

3.CloudBerry Backup初期設定&テストバックアップ

CloudBerry Backup を KCPS上のWindows Server 2012 R2にインストールして、データのバックアップを行うまでの手順を簡単にご紹介します。大まかな流れとして、インストール⇒オブジェクトストレージとの接続設定⇒バックアップ計画の作成⇒バックアップ実行となります。

3.1 事前準備
・KCPSオブジェクトストレージをご契約頂き、以下の情報をご用意下さい。
接続先IPアドレス(申込み時に指定)
バケット (管理画面から作成)
AccessKey/SecretKey (管理画面から生成)
・CloudBerry Backup のインストーラを指定サイトからダウンロードし、バックアップ対象サーバへインストールして下さい。(CloudBerry Backupを購入頂いたお客様にはマニュアルを提供しますが、見なくても簡単にインストール可能です。)

3.2 KCPS オブジェクトストレージとの接続設定

CloudBerry Backupに、KCPSオブジェクトストレージの接続情報を登録します。CloudBerry Backupの管理画面にて、「Add New Account」⇒「S3 Compatible Storage」を選択し、接続に必要な情報を登録します。以下の設定画面にて、「上級設定」で「SSLを使用する」のチェックを外した上で、接続名称、AccessKey、SecretKey、サービスポイント(IPアドレス)を入力します。接続が成功すると、予め作成したバケット名を選択することができます。バケット名を選択して登録を完了します。※WVS閉域接続の為、KCPSオブジェクトストレージの接続プロトコルはhttpとなっておりますので、「SSLを使用する」のチェックを外す必要があります。なお、Step by Stepでの詳細な設定手順については、マニュアルが提供されますのでご安心下さい。

図1<図1>接続情報設定画面

図2<図2>上級設定画面

3.3 バックアップ計画の作成
「バックアップ計画」の作成はウィザードから簡単に行うことができます。バックアップ対象とするフォルダの指定や、その他のオプションの設定を行います。
(1) バックアップ先として、先ほど登録した「KCPS Object Storage」を選択します。

図3<図3>バックアップ先の指定

(2) バックアップ計画名を登録します。

図4<図4>バックアップ計画名の登録

(3) サーバ内の、バックアップ対象とするフォルダを選択します。

図5<図5>バックアップ対象フォルダの指定

上記では一部画面のみご紹介しましたが、実際には、圧縮や暗号化の有無、世代管理、定期実行スケジューリング、完了時のメール通知等、様々なオプションについて設定可能です。

3.4 バックアップの実行

作成した「バックアップ計画」を実際に実行し、データをKCPSオブジェクトストレージにバックアップします。
(1) 作成したバックアップ計画「test backup」を選択し、「バックアップを今実行する」をクリックします。

図6<図6>バックアップの実行

(2) バックアップが成功したことを確認します。

図7<図7>実行結果の表示

3.5 バックアップしたデータの格納確認

バックアップしたデータがKCPS オブジェクトストレージに格納されていることを確認します。今回は、オブジェクトストレージ内のデータを、Windowsエクスプローラ的なUIで操作することができるフリーソフト「CloudBerry Explorer」を使用します。CloudBerry Explorer で、KCPSオブジェクトストレージ内のバケットの中身を参照してみると、バックアップ対象のフォルダやファイルがオブジェクトとして格納されているのが確認できます。実際にファイルを開いてみることも可能です。

図8<図8>CloudBerry Explorer による表示

4. 終わりに

上記の通り、CloudBerry Backup を使うと、非常に簡単にデータのバックアップを始めることができます。また、データの圧縮や世代管理等、より複雑なバックアップ設定を行うことも可能です。大容量のデータの保存にお困りの方は、ぜひKCPSオブジェクトストレージ+CloudBerry Backup をご検討頂ければと思います。冒頭にも記載しましたが、多くのお客様にKCPSオブジェクトストレージをお試し頂くことを目的として、CloudBerry Backup (CloudBerry Backup Edition)の無料提供キャンペーンを実施しております。詳細はキャンペーン申込みサイトをご参照ください。(キャンペーンは先着50社となります。)
なお、保守(プレミアムサポート)※についても併せてご提供致しますので、安心してご利用頂くことが可能です。
※保守(プレミアムサポート)はクリエーションライン株式会社による提供となります。

ID & IT Management Conference 2015で講演します

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KDDIの高木です。KDDIの高木 幸一および清水 智行がID & IT Management Conference 2015にて講演しますのでお知らせします。本カンファレンスは認証基盤に特化したイベントであり、2011年より毎年開催されています。ビジネスパーソン/エンジニアの双方に向け、各業界のスピーカーが最新のトピックについて講演します。
2015年のテーマは「クラウドモバイルIoT、IDを信頼するには」。KDDIの取組みが認められ、今回の基調講演やテクニカルセッションにお声掛けを頂き、登壇する運びとなりました。

ID & IT Management Conference 2015

開催日: 2015年9月18日(金)
場所: ANAインターコンチネンタルホテル東京→MAP
参加費用:無料(事前登録制)
詳細、及び事前登録はこちらをご参照ください。

先日、本ブログ上で、「IoTの究極の形『WoT』にKDDIが取り組む理由」「クラウドとつながるIoT/WoTデバイスのためのプラットフォーム」と題し、「WoT(Web of Things)」に関する記事を寄稿させていただきました。今回の講演は共にこちらを深堀したものになります。

[GE-02] 10:10-10:40
Web of Things (WoT) 概要

IoTの具体形の1つとしてWoTが検討されています。本講演ではWoTについて概説します。
KDDI株式会社 高木 幸一

[TE-02] 11:45-12:10
Web of Things (WoT) を構成する Web技術と連携基盤

様々なデバイスを Web技術で繋ぐ「モノのWeb」を実現する技術要素についてプラットフォームや ID活用など様々な角度から概説します。
株式会社KDDI研究所 清水 智行

皆様、お誘いあわせの上、是非ご参加ください!
※参加には事前登録が必要です。詳細、及び事前登録はこちらから!

TELEHOUSE OSAKA 2が遂にオープン。すべてをお見せします!

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長らくTELEHOUSE OSAKA 2 の建設状況を写真でお伝えしてきましたが、2月頃から外面の変化がなくなっていました。その間、建物内部の工事を着々と進め、8月21日にサービス提供開始となりました。オープン記念で今回から3回連続で関連記事を掲載します!さて、第一回目は設備公開です。お客様動線に沿ってご紹介していきます。ちなみに、TELEHOUSE OSAKA 2のスペックは1ラックあたりの供給電力 最大30kVA、平均15kVA(いずれも定格)、PUE1.37(設計値)等々です。詳細についてはこちらをご覧ください。

[ビル外側~エントランス]

まず、データセンタービルに近づくと目に入ってくるのは免震構造(普通の人は目に入らないですか…)とこの看板です。

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20階建の建物なのですが、東日本大震災、阪神淡路大震災と同規模の地震が発生したとしてもサーバ室を最大200gal以下に押さえる設計になっています。そのため、ビルを横に最大90cmずらしながら地震エネルギーを逃がす免震構造を取っていることが記載されています。

次は外壁です。写真では少しわかりにくいのですが、よく見ると縦に線が刻まれています。あるメッセージがある方法で刻まれています。※答えはこの記事の最後に記載します。

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ビルに入ってみましょう。シャープなエントランスが皆さんをお迎えします。

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[TELEHOUSE フラッパーゲート~サーバ室]

TELEHOUSE専用入口を進むと、TELEHOUSEのロゴプレート、フラッパーゲートが待ち構えています。
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ロゴプレートの下の装置で、ICカード認証と生体認証を行い、フラッパーゲートを通ります。

フラッパーゲートの動き

ゲートを通ると、休憩室や仮眠室が用意されています。作業でお疲れの時にご利用頂けます。(ただし、仮眠室は予約制)6

さて、このデータセンターのセキュリティを概観しておきます。下の図のとおり6段階のセキュリティでラックまでのアクセスを制限しています。
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すでに、この図でいう第2セキュリティのフラッパーゲートをご紹介しましたが、第3セキュリティでのエレベータでは、ご契約階にしか止まらなくなっています。ご契約のサーバ室に入るときは、前室に入る必要があります。前室に入るためにIDカード+生体認証を行い(第4セキュリティ)、前室に入った後、IDカードでサーバ室に入りますが、前室には2人以上いるとサーバ室のドアが開きません(第5セキュリティ)。最後にラックキー(第6セキュリティ)によりお客様のラックを開けることになります。

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さらに、6段階のセキュリティに加え、監視カメラが不審な人物・行動を見張っています。

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 [サーバ室]

こちらがサーバ室です。最大30kVA/ラック、平均15kVA/ラック(定格)の供給電力、床荷重は1.5t/㎡まで対応しています。階間を大き目に取っていますので(フリアク~化粧天井 3,000mm)、ケージで囲えば、ラック上にケーブルランナーを設置することも可能です。
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ところで、壁や柱に青とオレンジのマークがしてあります。なんだかわかりますか?ヒントは次の写真です。
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実は色が、コールドアイル(青)とホットアイル(オレンジ)を示しています。冷たい空気(青)がフリアク下から噴き出てきます。ラック全面から吸気して、ラック背面から暖かい空気(オレンジ)になり排気され、天井に吸収されていきます。青は当社のコーポレートカラー、オレンジはauブランドカラーで、寒色、暖色ともうまいこと表現しています。

[空調設備]

次は、サーバ室の隣にある空調機(AHU: Air Handling Unit)です。このデータセンターでは高効率の空冷モジュールチラー方式を利用しています。屋上にモジュール型の空冷チラー(室外機)があり、サーバ室隣のAHUとの間で冷水を循環させ熱交換します(図の(1))。水冷式(図の(2))は冷却塔があり、水の気化熱と冷凍機で冷水を冷やしますが、空冷モジュールチラー方式は空冷チラー内部の冷媒と冷水が熱交換を行います。熱を受け取った冷媒をコンプレッサーで圧縮し、空気で冷やす(空冷)ことで、再び冷水と熱交換ができるようになります。メリットとして省スペース、水の消費がない(冷水が密閉されている)等があります。
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その屋上の室外機に辿り着く前に、寄り道です。データセンターには機械だけでなく、お客様も入退室されます。(言語によらず、)直観的に用途がわかるようなサインが壁に描かれています。
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さて、屋上です。これが空調設備の空冷チラー(室外機)です。大きなラジエータみたいなものが、ずらっと並んでいます。ここで冷水が、チラー内の冷媒を媒介して空気で冷やされ、サーバ室に戻っていきます。
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屋上に高層ビルならでは面白いものがありました。この四角い柱は何でしょうか。正解は… 少しだけお待ちください。
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屋上に階段があったので、上ってみましょう。なんとヘリポートがあります。このヘリポートは火災発生時の消火救助活動用に設置されています。

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屋上からの眺め

そろそろ、四角い柱の解答です。正解は…、非常用発電機の煙突です。非常用発電機が設置されているフロアから屋上まで排気を運ぶためのものです。

[電源設備]

特別高圧77kV受電変圧器、UPSと非常用発電機です。緻密な設計により大規模な設備を各階に効率的に配置しています。
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非常用発電機は、日本最大級の6,000kVA(多摩は4,500kVA)です。

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この6,000kVAクラスの非常用発電機は日本で10台前後と聞いています。

[免震層]

最後は免震層です。弾性すべり支承、積層ゴム、直動転がり支承、オイルダンパー の4種類の構造物で20階建てのビルを地震から守ります。滑らせて地震エネルギーを逃がしたり、地震後の揺れ(エネルギー)を吸収してビルの揺れを押さえたりします。
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冒頭でビルが最大90cm横に動くとご説明しましたが、そのための設備がこの免震層にあります。弾性すべり支障のすべり板は一辺が3.2mありますが、日本最大級です。

[環境エコラベル]

KDDIでは、2015年8月21日から、温室効果ガスを減らし環境に優しい当社ICTサービスに対し「環境エコラベル」を付与する取組を始めました。その初回付与案件の一つとしてTELEHOUSE OSAKA 2が選定されています。

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低PUE設計により、従来型のデータセンターサービスと比較して温室効果ガスを約21%の削減効果が見込んでいます。また、環境を配慮した設備としてLED照明や太陽光・風力発電による街灯を設置しています。

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詳細については、こちらのニュースリリースを併せてご覧ください。

[まとめ]

今回は、設備をお見せしました。日本最大級の設備があることと、ちょっとクールなところが、このデータセンターの特徴です。次回は構築に携わった株式会社大林組さんと当社設計担当とのインタビューを掲載します。その関係もあり、お見せした設備の写真に対してのコメントを出し惜しみところもありますがご容赦ください。次回の記事で、設備のこだわりや構築にあたっての困難等、皆様にお伝えできればと思います。

[データセンター構築状況]

TELEHOUSE TOKYO Tama 3 の構築状況です。

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外側はあまり見た目が変わりませんが、外壁の模様が見えてきました。来年初頭の竣工が楽しみです。

【外壁のメッセージ】

「―・― ―・・ ―・・ ・・  --- ・・・ ・- -・- ・-  ・・- - ・- ・・・・・」(KDDI OSAKA 2015)と刻み目で彫ってあります。モールス信号です。お越しいただいた方はご確認ください。

KDDI×アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の共催セミナーのご報告

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みなさんこんにちは、佐藤です。今回は2015年8月20日に本Blogで「AWSエバンジェリスト渥美俊英氏とKDDI 藤井彰人の対談が実現!」と題しご案内させて頂いた、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の共催セミナー(9月9日)の様子をレポートします!当日は台風18号が東海地方に上陸し、セミナー開催地の東京都でも土砂降りの大雨でした。そのような悪天候にもかかわらずたくさんの方にご来場いただきました。ご来場くださいました皆様に心より感謝しております。

 AWSエバンジェリスト渥美氏登場!

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セミナーは、まず「AWSクラウドで変わる企業の業務システム~最新事例とクラウドの価値~」と題し、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のAWSエンタープライズエバンジェリストである渥美氏の講演から始まりました。渥美氏の講演では実際にAWSのデモも交え、オンプレと比較したAWS利用による構築スピード向上などのメリットや企業ITのAWS移行を支えるポイント等を実際の利用事例も含め説明して頂きました。

KDDI藤井によるKDDIクラウド戦略!

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続いて、弊社藤井より「イントラから使うクラウド利用のポイント~KDDIのクラウド戦略と共に~」と題し、KDDIのネットワークの進化とそのネットワークと自由に繋がるKDDIのクラウド戦略、およびAWS with KDDIについて講演しました。冒頭の渥美氏の講演にも、企業ITのAWS移行を支えるポイントの一つとして、イントラとAWSの専用線接続がありましたが、”イントラから使うクラウド利用のポイント”のパートで、キャリアであるKDDIが提供するAWSダイレクト接続の『低価格』、『異ルート冗長構成による高可用性』や実際の事例を取り上げつつAWS with KDDIの説明を行いました。

◆セミナーでご紹介した動画

大好評!「クラウド時事放談」

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そして、ご来場いただいたみなさまのアンケートでも非常に好評だった、最後の第3部は、「クラウド時事放談~クラウドの真価がもたらすもの~」と題して、渥美氏、藤井の二人による対談をお楽しみいただきました。古くからの友人である渥美氏と藤井の馴れ初め(出会いは藤井がSun Microsystemsに勤めていた時代にさかのぼります)からこれまでの歩みや、二人が転職して感じたこと(渥美氏は日本企業の「電通国際情報サービス(ISID)」から外資の「アマゾン データ サービス ジャパン」に転職、藤井は外資の「Google」から日本企業の「KDDI」に転職と、真逆の転職遍歴)などをディープに語っていただきました。また、そんな二人の経験から考えられる”クラウドの真価がもたらすもの”についても、現状から考えられるクラウドがもたらす未来を熱く熱く語っていただきまして、若干予定時間をオーバーしつつ終了となりました。

ノベルティも大好評!

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また、今回のセミナーでは、来場者の方へのプレゼントとして、AWS with KDDIのロゴ入りオリジナルノートをお配りしました。当初1部ずつのお配りでしたが、セミナーの最後に余剰分のお持ち帰りをご案内したところ、多くの方が複数個持って帰っていただきました。皆さまにとても気に入っていただけたようで、大変嬉しく思っております。KDDIでは、これからも皆さまに喜んでいただけるセミナーを企画して参りますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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