お久しぶりです。データセンター企画リーダの柳澤です。TELEHOUSE OSAKA 2のオープンに続き、2月12日にもう一つのデータセンターがオープンしました。TELEHOUSE TOKYO Tama 3 です。今回はこのKDDIの主力データセンターであるTELEHOUSE TOKYO Tama 3の設備紹介をします。全体としてはそのパワフルさにもかかわらず、余裕を感じさせるつくりになっています。スペックの確認ですが、1ラックあたりの供給電力 最大42kVA、平均21kVA(いずれも定格)、PUE1.31(設計値)等々です。詳細についてはこちらをご覧ください。
まずは外観から~圧倒される巨艦~
とにかく大きいのがこのTELEHOUSE TOKYO Tama 3です。まずは航空写真からご覧ください。
TELEHOUSE TOKYO Tama 全景
一番手前がTELEHOUSE TOKYO Tama 3です。一辺が約140mあります(TELEHOUSE OSAKA 2のビルの高さは約130m)。航空写真だと全体が写りますが、地上から全体を捉えるのはその巨艦のため、なかなか難しかったです。多摩の運用者に全体が収まる撮影ポイントを聞いて、何とか撮影できたのがこちらのショットです。
TELEHOUSE TOKYO Tama 3 地上からの全景
大きいですね。広角での撮影なのでパースが効いています。これだけ大きな建造物ですが、免震構造を取っています。よく見ていただくと左奥の下のところに通路があることがわかると思いますが、アーチ構造のビルでもあります。この巨大かつ特殊な形状の構造物全体を最大で横に75cmも振動を逃すような構造になっています。
免震構造(外から)
こちらはTama 3の足元を撮影したものです。大阪の時と同様、わずかに浮いているのが分かりますでしょうか?そして、これがこのデータセンターの非常用発電機群です。2016年2月現在、3棟合計で4,500kVAの発電機が18台(81MVA) 用意されています。
非常用発電機群(左側)
サーバー室
建物の中を見ていきたいと思います。
高電力対応サーバー室
コールドアイル上のアイルカーテン
まず、こちらがサーバ室です。大阪で好評だった機能とデザインを併せた青とオレンジのカラーリングを採用しています。それぞれ、コールドアイル(青)とホットアイル(オレンジ)を示しています。コールドアイルでは冷たい空気(青)がフリーアクセスフロアの下から噴き出てきます。ラック前面から吸気して暖かい空気(オレンジ)になり、ラック背面から排気され、天井に吸収されていきます。青は当社のコーポレートカラー(TELEHOUSEカラーでもあります)、オレンジはauブランドカラーで、寒色、暖色と表現を合せました。高電力対応なのですが、意外にあっさりな印象かもしれません。近づいてみるとコールドアイルの上に何かが巻き上げられているのが見えると思います。これはアイルカーテンで両側にラックが並び立った時に、これを下ろすことで、冷気をコールドアイルに閉じ込め、高電力サーバーを確実に冷却することを可能としています。
空調設備
左側に見えるのはAHU(Air Handling Unit:空調室内機)のフィルタです。この巨大なAHUを隔てて左側には先ほどのサーバ室があります。奥の方までずらりとAHUが並んでいることがわかりますでしょうか?1ユニット当たり150kwの冷却能力となっており、初期工事では12ユニット+予備 2ユニットの構成で1,800kwまでの冷却能力を備えています。空調方式は大阪と同じく、高効率の空冷モジュールチラー方式を採用しています。屋上にある空冷チラーで作られた冷熱を冷水でこの部屋まで運び、AHUにて冷気をサーバ室に吹き出します。仕組みについては、大阪の記事をご参照いただけるとよいと思います。
屋上の空冷チラー
冷水タンク
屋上に行くと、空冷チラーの他に冷水タンクがあります。冷水タンクは空冷チラー用のUPSのようなものです。停電が発生しても10分間はこのタンクからの冷水でサーバ室を冷却し続けることができます。非常用発電機が起動(実際は約40秒)するまでの繋ぎとして用意されています。
電源設備
サブ変電室(電源室)を見てみましょう。建物全体の受変電する場所に対して、サーバ室ごとの電力の安定化と変電を行うため、このように呼んでいます。サブ変電室はサーバ室に1つずつ用意されています。
UPS
バッテリー
圧巻はUPSのバッテリーです。整然と大量のバッテリーが設置されています。さて、TELEHOUSE TOKYO Tama 3のビルの受変電はどこでやっているかというと、Tama 2になります。Tama 2の大きな変圧器(冗長構成を取っています)で、電力会社から受電した66kVを6kVに降圧し、各サブ変電室に分配しています。Tamaは大きなデータセンターですが、共用できるところは共用し、効率的なスペース利用に心がけています。
TELEHOUSE TOKYO Tama 2 25MVA変圧器
免震装置
免震装置 積層ゴム
見学できる場所から確認ができたのは積層ゴムだけですが、弾性すべり支承、オイルダンパーも装備されています。ちなみに、積層ゴムの数はTama 1 約90個、Tama 2約80個に対し、Tama 3 約70個ということで、ビルの大きさはTama 3が最大ですが、積層ゴムの数は最も少なく済んでいます。長さが140mもあるビルにもかかわらず、約70個のゴムで支えているとは驚きです。
共通部 ~お客様への快適な空間を提供~
休憩スペース
Tama 3では効率化を図る一方でお客様にくつろいでいただけるスペースも用意しました。全体を青とオレンジで整えています。
会議室
通路
会議室や通路も青とオレンジで統一しました。北側を青、南側をオレンジにしています。その他にも夜間作業時に休息をとる仮眠室、喫煙室、パントリー、シャワー室を用意しています。
仮眠室
喫煙室
パントリー
パントリーには自動販売機も設置します。休憩コーナーの隣にありますので軽食をとっていただくことが可能です。
まだ紹介していないものが…
まだ紹介していないものがあるのですが、なんだかわかりますか?普通だったら、一番最初に紹介するんですが。。。正解は、エントランスです。実はTama 3のエントランスはTama 2と共通になっています。Tama 3とTama 2の結合部はこんな感じになっています。
TELEHOUSE TOKYO Tama 3(左) , Tama 2(右)結合部(外側)
TELEHOUSE TOKYO Tama 3(手前) , Tama 2(奥)結合部(内側)
お互いに免震構造のビルなので、それぞれ独立して動くようになっています。奥の方がTama 2と共通のエントランスになっています。
オープンにあたっての運用者インタビュー
Tama 3のオープンにあたって、以前もお世話になったDC運用チームの萩原さんのお話を伺いました。
柳澤: TELEHOUSE TOKYO Tama 3がオープンすることでのお客様メリットはなんでしょうか?
萩原: お客様の利便性、サービスが飛躍的に向上することだと思います。ビルの耐震性、サーバ室の高い安全性、通信の安定提供は当然のこと。Tama 3はTama 2と比較して休憩室、会議室、打合せコーナー、喫煙室が2倍ほどの広さになります。データセンターの付加価値のところも見ていただきたいと思います。
柳澤: 運用チームの皆さんがオープンの直前(訪問日はオープンの1週間前)にも関わらず、落ち着いているように感じましたが。
萩原: 多摩ではデータセンターが3棟目なので、運用移行も滞りなく進んでいます。Tama 2とTama 3は連結されているので、効率的な運用だけでなく、スキルも既存データセンター運用員の過去からのスキルの蓄積がそのまま活かせるのも大きいと思います。
柳澤: 効率化を図りつつ、運用品質も確保していて、お客様に期待していただけそうですね。TELEHOUSE TOKYO Tama の運用を引き続きよろしくお願いします。
環境エコラベル
TELEHOUSE OSAKA 2に付与された「環境エコラベル」ですが、TELEHOUSE TOKYO Tama 3も付与されることになりました。KDDIでは、2015年8月21日から、温室効果ガスを減らし環境に優しい当社ICTサービスに対し「環境エコラベル」を付与する取組を始めています。TELEHOUSE TOKYO Tama 3は高効率の電源設備や省電力の空調設備、LED照明や人感センサーなどの導入により、環境負荷軽減に寄与していることから、「環境エコラベル」が付与されることになりました。
KDDIエコマーク
まとめ
オープン直前に訪問したのですが、建物も運用者も落ち着いた雰囲気でした。設備も十分なスペック、運用もこれまでの蓄積が活かせるだけでなく、アメニティにも磨きをかけました。KDDIの中核データセンターにふさわしいものに仕上がっていると思います。まさにフラッグシップの風格を感じさせるデータセンターです。自信を持って提供させていただきます。